香港の子育て事情

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香港の子育て事情

旧正月が近づき街中が赤や黄色で溢れてお祝いムードの香港ですが、1月に入って新型コロナウイルスの感染者数が再び増加傾向となってきました。香港内の幼稚園と小学校は1月14日から休園・休校となることが発表され、当面はオンライン授業が実施されます。学校再開は早くて旧正月の休暇明けとなるでしょう。感染拡大防止のためには致し方ないことですが、学校が休みになると、お子さんを持つ親御さんは家でお子さんの面倒を見る必要があり苦労するところです。

さて、香港には子育てをされている日本人の方も多くいらっしゃいます。駐在員の日本人夫婦、国際結婚夫婦、そして共働き、シングルマザー/ファーザーなど、ご家庭ごとに様々な環境にあると思います。日本よりも多種多様な選択肢がある香港の子育て事情について、特徴を挙げていきたいと思います。

香港で子育てするメリット

香港は女性が働く環境が日本よりもずっと整っています。まず出産に関して言えば香港は産休が14週間と短く、産後すぐに仕事復帰します。香港人は出産予定日のギリギリまで出勤し、産後の休みが長くなるように産休取得するためお腹がかなり大きくなっても平然と通勤している妊婦さんを見かけます。

産後の子どもの面倒は親など身内に頼るか、住み込みのドメスティックヘルパー(アマさん)を雇い月曜~土曜まで家事と子どもの面倒をみてもらいます。日本では女性が出産を機に仕事を辞めて育児と家事に追われ、再就職が難しいという現実がまだまだありますが、香港では女性が働き続けられる環境が整っています。香港では法律上12歳以下の子どもを一人にしてはいけませんので、学校から帰った子どもが一人で公園へ行ったり留守番をしたりすることはありません。そういう時、子どもに付き添って身動きの取れるヘルパーさんの存在は非常に助かります。

さらに香港人は妊婦、赤ちゃん、子連れには大変優しく公共の場所にいると何かと世話を焼いてくれます。地下鉄やバスでお腹の大きな女性が乗って来たら我先にと席を立って妊婦さんを座らせます。赤ちゃんが泣いても周囲の人は迷惑な顔をするどころかあやしてくれ、レストランなどで子どもが騒いでも、周りも賑やかなので子どもがうるさいと言う人はまずいません。

学校の選択肢もたくさんあります。幼稚園、小学校、中学校、は日本人学校がありますし、インターナショナルスクールもあります。香港ローカルの学校も公立や私立など各校により特色は様々です。日本では決められた校区の公立小学校に通う人がほとんどですが、香港ではもっと能動的に学校選びができます。

多国籍な人々が入り乱れる香港では子どもたちが生活の中で外国語に接する機会は多く、英語や中国語(マンダリン、広東語)を吸収するには大変良い環境です。もちろん本格的に勉強しようと思えば学校でも、家庭教師でも、オンラインでも外国語を習う手段はいくらでもありますし、実践する機会も多いのでモチベーションが維持しやすいでしょう。

香港は大都会で学校の中に大きな校庭はありませんが、海や山が近くアクセスが良いため週末や休みを利用して自然の中のアクティビティを気軽に楽しめます。ハイキングやサイクリング、夏にはあちこちのビーチで遊べます。また公立のスポーツセンターでは屋内スポーツが楽しめますし、近年ほとんどのマンションに卓球場やプールなどレクリエーション施設があります。

香港で子育てするデメリット

子どもに優しい香港ですが、デメリットとして挙げられる面も見てみましょう。

香港は年々教育熱が高まり、学歴社会です。香港人は幼稚園受験を視野に入れ、受験対策は妊娠中から始まっているとまで言われます。幼稚園に入れば漢詩の暗誦、英語、中国語など、お勉強や宿題が待っていますので、のびのび育てたい教育方針のご家庭は、競争社会に違和感を抱くかもしれません。

もうひとつデメリットとしては医療費が高いこと、子どもが急に熱を出したり怪我をしたりしたとき、医者にかかれば費用は全額実費です。民間の保険に加入しておくなどしておくと良いです。

ハーグ条約

最後に、子どもと海外で暮らしている方、国際結婚している方が是非知っておきたい「ハーグ条約」を紹介します。

ハーグ条約は、国境を越えた子どもの不法な連れ去りによって生ずる悪影響から子どもを守るため、原則として元の居住国に子どもを迅速に返還するための国際協力の仕組み、国境を越えた面会交流の実現のための協力について定めています。要するに夫婦の婚姻関係に破綻が起きた時、子の親権訴訟中に片方の親が子を連れ帰国あるいは別の国へ行った場合、双方ともにハーグ条約に加盟していればハーグ条約に基づき元の居住国に返還される可能性があります。

ハーグ条約の対象は16歳未満の子どもです。夫婦関係に問題がなくても、片親が子どもを連れて出入国する場合に「渡航同意書」の提示を求められる国もあります。また、裁判所の許可を得ないと子どもを連れて出国できない国もあります。加盟国も増え、年々厳しくなっているため片親が子連れで国境を越える際には注意が必要です。