日本人の香港の学校選び

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日本人の香港の学校選び

5月に入って香港では新型コロナウイルス対策の制限緩和が進み、ビーチやプールの再開など措置の一部は予定より前倒しで行われました。また入境制限においては、ワクチン2回接種を終えた外国人の香港入境も可能となり、香港入境後の待機期間は7日間です。日本国籍者は90日以内の滞在であれば査証免除を受けられます。一方、日本も水際対策の緩和が発表され6月1日より香港から日本への入境者に対しては隔離が不要となります。出発前72時間以内にPCR検査を受けた陰性証明書を提出する必要はありますが、ワクチン接種記録の提出は求められません。いよいよ日本と香港の往来が実現し始め、新型コロナウイルスの感染拡大によって制限されていた各業界も活気を取り戻すのではと期待が高まりますね。

さて、この2年余り日本にいる家族と離れて暮らしている駐在員の方も多く見られますが、今回の渡航再開によって家族を香港へ呼び寄せる方もいらっしゃるのではないでしょうか。子連れの日本人が知っておきたい香港の学校事情についてまとめます。

香港は学歴至上主義のため親は教育熱心な傾向にあります。学校選びは日本よりも多くの選択肢がありますが、その反面、人気のある学校は競争率も非常に高くなります。そして選択肢の幅が広がるかどうかは親の経済力によるところも大きく、香港にこれから何年ほど滞在するのか、重視する言語や教育方針、子どもの性格など、各家庭でよく考える必要があります。

現在の香港の学校制度は日本と同様で小学6年、中学3年、高校3年、大学4年を採用しています。日本と同じく3学期ありますが、学年始まりは9月からです。

<プリスクール・幼稚園>

幼稚園に就園前の1歳8カ月や2歳から「プリスクール」があり、香港では幼稚園に入る前から通わせる人も少なくありません。教育施設としてのプリスクール以外にも、幼児向けの遊びを定期的に開催するプレイグループは、英語や日本語など様々なグループがありますので、就園前の慣らし保育としてや親同士の交流目的として参加することができます。

幼稚園は、日本人の多くにとって選択肢は3つあります。

・インターナショナル幼稚園

学費が非常に高い、自由な校風な園が多く英語力が身に着く。

・日系幼稚園

日本の幼稚園と同様に活動を大切にしている園が多く、先生は日本人。

多くの園で英語を学ぶ時間もある。学年は4月始まり。

・ローカル幼稚園

学費が安い。広東語に加え北京語、英語も学べる。勉強中心な園が多く、宿題もある。

<小学校・中学校>

・インターナショナルスクール

学費が非常に高いが、日本人だけでなく様々な国籍の子どもに囲まれたグローバルな環境で、英語が話せるようになる。欧米式の授業を取り入れている。

・香港日本人学校

公立ではないため授業料がかかるがインターナショナルスクールよりは安い。

先生は日本から派遣されており、英語は外国人(ネイティブ)から学べる。

・ローカル学校

義務教育の為、学費が無料か安く済む。香港人が多いが広東語以外もしっかり学べる。

公立でも、授業のカリキュラムは学校により大きな差があり人気校や難関校がある。

小学校の成績によって行ける中学校が決まるため勉強重視で、学校行事はほぼ無い。

<高校>

香港日本人学校には小学部、中学部がありますが高等部はありません。そのため中学卒業後は日本の高校を受験し日本へ帰国するか、香港のインターナショナルスクールに通う子がほとんどです。香港の教育制度は3・3ですが中高一貫教育のため、高校からローカル校に通うのはあまり現実的ではないようです。

<大学>

香港には大学が少なく、必然的に成績が上位の子しか大学に進学ができません。高校を卒業したら「香港中学文憑(DSE)」を受験し、この試験の結果で大学への選抜が自動的に行われます。日本のように行きたい大学を受験するのではなく、成績により学力に見合った大学に振り分けられます。香港内の大学は狭き門ですが、海外の大学を受験する人も多くいます。日本人の場合は、高校進学と同様に日本か海外の大学を選ぶパターンが多いでしょう。

おそらく香港に住む日本人の多くは駐在員で、子どもをインターナショナルスクールか日系学校に通わせ、いずれは日本へ帰国することを視野に入れていると思います。香港人と国際結婚している家庭であればローカル校も選択肢に入ってくるかもしれませんね。

インターナショナルスクールや日系学校に比べるとローカル校の受験戦争は行き過ぎているように見えるかもしれませんが、受験戦争を勝ち抜いてきた香港の大学生はエリートが多く、世界大学ランキングには香港大学、香港科技大学、香港中文大学が上位で入っています。香港の大学生は勉強熱心で、例えば香港大学は英語で授業が行われ、香港人の学生同士が英語でディスカッションするなど意欲的に授業に取り組んでいます。どんな学校に通わせるとしても、これからの時代を担う子供たちにとってグローバル感覚は必要不可欠です。多文化共生を実現している香港で生活することは、間違いなく大きな刺激になるでしょう。