訪日外国人の受け入れ再開 ー香港からの旅行ー

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訪日外国人の受け入れ再開 ー香港からの旅行ー

日本政府は6月1日に水際対策の緩和を発表し、1日の入境者の上限を1万人から倍の2万人に引き上げました。世界の各国・各地域を感染状況に応じ「赤」「黄」「青」の3グループに分け、中国・台湾・そして香港は最もリスクの低い「青」に分類されました。6月10日より「青」の国や地域から添乗員が同行する団体ツアーを受け入れました。

およそ2年ぶりの日本への渡航解禁を受け、香港の旅行業界も活気づいています。ご存じのように多くの香港人は親日的で日本の文化に馴染み深く、「日本へ行く」ことを「返郷下(故郷へ帰る)」と冗談交じりに表現するほど、日本を身近に感じています。新型コロナウイルスが流行する以前、日本を訪れる香港人は年々増え続け、ピーク時の2019年には年間およそ230万人にものぼりました。その頃は東京だけでなく地方の観光地など、日本のあちこちで広東語が聞こえていたほどです。またあの頃のように訪日香港人が日本に戻って来ることを期待しつつ、最新の訪日事情をまとめます。

観光目的の日本入国にあたって

これまで香港特別行政区及びBNOパスポートの所持者であれば90日以内の日本滞在はビザが免除されていました。6月10日から観光目的の新規入国については、同じく90日間の滞在でもビザが必要です。

  1. まず旅行社(受け入れ責任者)がERFS(入国者健康確認システム)でIDを取得、「受付済証」をツアー参加者に送付します。
  1. 続いてツアー参加者が各自で在外公館にビザ申請します。香港の場合は北角にある「日本簽證中心/日本ビザセンター」でビザ取得の手続きをします。所要日数は7日間ほどで費用は290香港ドルです。

その他、日本政府から旅行業者へのガイドラインには、「ツアー参加者は医療費補償がついた海外旅行保険に加入すること」とされています。

<日本入国時>

入国に当たっての必要書類は、出発72時間前のPCR検査の陰性証明書のみです。ワクチン接種の有無は問わず、入国後の滞在先における待機も不要です。入国後に再度PCR検査などを行う必要もありません。

<日本滞在中>

観光庁は旅行業者や添乗員向けにガイドラインを発表しています。旅行中は添乗員が参加者のマスクの着用や消毒など感染対策の徹底を求め、また参加者の行動歴の記録を取り、もし陽性者が出た場合はツアーから離脱させ医療機関にかかるなど、帰国まで責任を持ってサポートすることになっています。これにより旅行業者や添乗員には負担がかかりますが、参加者の一人一人がガイドラインを遵守し日本滞在を楽しんで欲しいですね。

<香港へ戻ってから>

香港に戻ると、政府が指定したホテルで最短7日の隔離をする必要があります。また、日本入境にはワクチン接種の有無は問われませんが、香港入境にはワクチン2回接種が必要です。言い換えると訪日香港人はワクチンを2回以上接種しているということになります。

今後の香港人の動き

さて、ようやく訪日外国人の受け入れ再開とはいえ、日本行きの航空便は実際まだ少なく、ビザなど事前の手続きにも時間を要することから、今から申し込んでも7~8月からの出発が現実的です。ツアーの日程は平均12~14日間ほど、そのうち7日間は香港での隔離期間で、費用は4万香港ドル(60万~)が現在出ている相場です。今までの旅費を考えるとやはり割高なことから、特に訪日を急ぐ理由がなければ、訪日を考えている香港人の多くは「まだ様子見」といったところです。今後さらに旅行会社の競争によってリーズナブルなパッケージが出てくる可能性もありますし、ツアーの種類も増えていくでしょう。

さらにもう一つ、訪日外国人の受け入れ再開に円安が追い風になっています。ここ20年で最も円安が進み、香港ドルを円に換えるには最適な時期です。多くの香港人がすぐに日本旅行を計画していなくとも、とりあえず円に両替しておこうと考えています。香港内には民間の両替店がいくつもあり、レートが良い両替店は香港人の間ですぐ口コミが広まります。両替店は手数料が不要で、小額から両替が可能です。もし銀行で両替する場合は、レートの良い日にネットバンキングで自分の口座の香港ドルを日本円に両替しておけば、いつでも窓口で日本円を引き出せるので便利です。ただし銀行の場合、高額の外貨引出しには手数料がかかりますので金額に応じて両替店や銀行を使い分けると良さそうです。

日本側の反応

今回の訪日外国人旅行客の受け入れには当然ながら日本国内で賛否両論あります。せっかく国内の新型コロナウイルスの流行が落ち着いて来たのに、また海外との往来によって感染症が広がるのではないかという不安の声も聞こえます。一方でインバウンドへの期待も高まっており、「ウィズコロナ」で動き出している今、やはり多少のリスクとも上手く折り合いを付けて受け入れる時期なのかもしれません。コロナで失速した観光業や小売業の期待は特に大きく、1日の入国人数の上限の撤廃や個人旅行の早期再開を望む声が早くも出ています。