8月13日、香港の新型コロナウイルスの一日の新規感染者数が久々に5000人を超えました。ここ最近の増加ぶりから緩和傾向にあった香港の入境制限が再び厳しくなるのかと思われましたが、入境制限の緩和が進む海外と同様に、香港もウィズコロナへとシフトしているようです。
香港政府は、海外及び台湾からの入境者に対するこれまで7日間の指定ホテルでの強制隔離期間を短縮し、8月12日(金)より「ホテル隔離3日間+行動制限付きの医学的観察4日間」に緩和すると発表しました。指定ホテルを退去した後の4日間は、飲食店など一部の場所の出入りはできない制限があるものの、従来と違って外出は可能となります。公共交通機関の利用、スーパーマーケット、市場、ショッピングモール等への出入り、さらに学校への登校や勤務先への出勤も可能で、基本的な日常生活が送れるようになります。これらの変更に伴い新しい措置も実施されています。
<PCR検査と迅速抗原検査(RAT) の回数の変更>
香港入境後のPCR検査、迅速抗原検査の回数は下記の通りになりました。
0日目:香港空港到着時にPCR検査
2日目:指定ホテルでPCR検査(3日目の午前中にホテル検疫が完了)
4日目:PCR検査
6日目:PCR検査
9日目:PCR検査
PCR検査は各自で香港各地にある社区検測中心(Community Testing Centre)へ赴いて受けます。そしてPCR検査とは別に迅速抗原検査は入境後すぐと、翌1日目~10日目まで毎日行う必要があります。
<オンラインでの健康申告>
香港入境手続きの簡素化のため、香港へ出発前にオンラインで健康申告を行うことができるようになりました。これにより香港到着時の書類確認の手間が省け、入境後はまっすぐ指定ホテルへ移動できるようになりました。健康申告にはワクチン接種記録や指定ホテルの予約データなどの情報を登録し、正しく入力され問題なければ緑色のQRコードが発行されます。もしワクチンの接種状況に問題がなく、ホテル予約が確認できないという場合はピンク色のQRコードとなります。香港行きフライトのチェックイン時にピンク色の場合は、ホテルの予約票を改めて提示しなければならず、香港到着後も同じくホテルの予約票を提示する必要があります。そしてフライト搭乗の際にQRコードを事前取得していない者は搭乗が認められないため必ず事前に健康申告を行っておく必要があります。
<安心出行( LeaveHomeSafe) の最新バージョン>
香港への入境者は最新バージョンのLeaveHomeSafe(安心出行)アプリをダウンロードしなければなりません。今後は新たに赤、黄、青の3色で表示されます。赤は新型コロナウイルスの感染者で、外出禁止です。黄色は海外から入境した者で、入境後は指定ホテルの3日間と医学的観察期間の4日間が終わるまで表示されます。もし医学的観察期間が終わる前にPCR検査で陽性となった場合は「赤色の健康コード」となり、医学的観察期間の完了時に陰性であれば「青色の健康コード」に変わります。「黄色」は海外からの入境者のみに適用されており、濃厚接触者という意味ではありません。LeaveHomeSafe(安心出行)アプリが黄色のうちは、カラオケやレストラン、バーなどハイリスクとされる場所への出入りができないことからアプリの色分けによって入境後の市内における一定の行動制限となります。
<香港域外(日本)で接種したワクチンの香港入境時に適応される証明書について>
現在、海外から香港に入境できる対象者は下記の通りです。
・ワクチン完全接種者である香港居民(香港ID所持者、長期滞在ビザ等の有効なビザの所持者)
・ワクチン完全接種者である非香港居民(香港ID、長期滞在ビザ等の有効なビザを所持していない者。観光等の目的で入境する渡航者も含まれます。
「ワクチン完全接種者」とは、定められた回数のワクチン接種を終え、なおかつ最終接種日から14日間が経過した者を指します。香港域外の海外でワクチン接種をした場合、接種済みと認められるワクチンは以下のウェブサイトに記載されています。
https://www.coronavirus.gov.hk/pdf/list_of_recognised_covid19_vaccines.pdf
日本で接種するワクチンは主にファイザー(Comirnaty)とモデルナ(Spikevax)のいずれかですので、どちらも2回接種済であれば完全接種者と認められます。原則、2回とも同一のワクチンを接種することで完全接種者と認められますが、1回目のワクチン接種後に重篤な副反応が出た場合で2回目のワクチン接種が困難な場合、あるいはワクチン流通の関係で2回目に同じワクチンが接種できなかった場合は日本領事館の発行する文書により完全接種者として認められます。
https://www.hk.emb-japan.go.jp/files/100338325.pdf
日本など諸外国ではすでに入境後の強制隔離もほぼ無くなって来ていますが、厳しく水際対策を行って来た香港が、指定ホテルでの隔離期間を3日間まで短縮したことは大きな動きです。ホテル料金の高い香港において、隔離期間が短くなれば入境者の負担も軽減され、香港への出張者や観光客の増加も見込めるでしょう。また香港居民が海外に出て戻る場合も同様で、海外へ出る人も徐々に増えてゆくのではと見られます。