9月23日（金）香港政府は、香港入境者に求めていた到着時の指定ホテルでの強制隔離を26日朝6時より廃止すると正式に発表しました。同時に搭乗前48時間以内のPCR検査陰性証明の提示も不要となります。今後は搭乗前24時間以内の抗原検査の陰性結果のみ必要となり、到着後に香港でPCR検査を受けることになります。
香港内では長期に渡る水際対策による経済への影響や、世界的な規制緩和の動きを受けて、香港も規制緩和すべきだという声が上がっていました。今月に入ってから政府はホテルでの強制隔離を解除する方向で検討していると度々報道されていましたが、満を持してようやく正式に規制緩和が発表されました。
新たな措置の変更点は下記４つです。
- 海外及び台湾から香港国際空港を経由して入境する場合現行の「ホテル隔離3日間＋自宅で健康観察4日間」が「ホテル隔離０日間＋自宅で健康観察3日間」へ変更となります。
- 出発前48時間のPCR検査の陰性証明の提示が不要となり、代わりに出発前24時間の抗原検査の陰性証明のみ提出が必要となります。
- ワクチン未接種の香港居民の香港入境が制限されません。
- 「来港易」「回港易」の1日あたり上限人数が撤廃されます。（中国本土（場所を問わず）とマカオから香港へ入境する者）
政府の発表によると、これまで出発前に必要だったPCR検査は今後不要となり、自身で行える簡易な抗原検査が義務付けられます。香港入境後はまず空港でPCR検査を受け、その結果を待たずに自宅或いはホテルへ移動することができます。その際の交通手段は問わず、自宅やホテルへ到着後の外出も制限されません。入境後の3日間は「黃碼/黄色コード」が表示されるためレストランやバーなどへの立ち入りは制限されますが、通勤や通学は制限されません。3日目に陰性の結果を受け取れば「藍碼/青色コード」に表示が変わります。また、指定ホテルでの強制隔離中における人で今回の撤廃により予定より早くチェックアウトを希望する場合、ホテル側は返金に応じることになっています。
香港居民はワクチン完全接種者でなくても飛行機への搭乗が可能となりますが、香港居民以外はワクチン完全接種済であるか、ワクチンを接種できない旨の医学的証明書がなければ搭乗できません。
世界的に水際対策の撤廃や緩和が進む中、長らく香港は比較的厳しいコロナ対策を行ってきており、国際都市の香港はすでに3年近く海外との門戸を閉ざしていました。それによって経済活動にも多大な影響が出ていました。香港政府は、現在海外からの新型コロナウイルスの輸入リスクはそれほど高くなく、香港の市中感染と比べてもそのリスクは低いと分析し、香港の経済活動、競争力、入境の利便性などを考慮し今回の水際措置の緩和を決めたと今回の決定について説明しました。
香港の旅行業界は政府の発表を受け、業界の復活が見込めると期待しています。もちろん水際対策が緩和されたとはいえ、最初の3日間 に一定の行動制限があるとなると、短期日程の外国人観光客が以前のように戻って来るかと言えば現実的ではないかもしれません。しかし少なくともビジネス客、海外から家族や友人に会いに香港を訪れる人、久々に海外より里帰りする香港人など、観光客以外の人々の流れは期待できます。そして何より、旅行好きの香港人がようやく気軽に海外へ出ることができるようになるため旅行業界にも活気が戻ってきそうです。
また各航空会社も旅客の増加を見込んでいます。キャセイパシフィック航空は政府の強制隔離撤廃により10月からアジア及び長距離路線など200を超える路線を増やす計画です。11月1日より東京（羽田）の毎日の往復再開と、12月1日から週4便の北海道の往復を再開させます。東京（成田）行きと大阪行きのフライトは10月より増便されます。
また、この発表に先立って全日空/ANAはすでに香港～羽田間のフライトを10月31日より再開すると発表していました。週4往復で運行されます。香港航空/Hong Kong Airlinesも、今年中に香港～札幌、香港～沖縄の路線を再開する見込みとしています。
また、海外から香港への入境者における強制隔離は撤廃となったものの、香港内における最新の新型コロナウイルス対策の各種制限は9月22日より10月5日まで延長されています。公共の場所におけるマスク着用のこと、4人以上の集まりは引き続き禁止されています。そして9月30日より5歳～11歳の子どもにおいてもワクチンパスが適用されますので、ワクチンパスが適用されている場所へ立ち入る際は少なくともワクチン接種を1回済であることが求められます。
暦の上では秋となりインフルエンザのワクチン接種の時期も近づいて来ました。専門家によると新型コロナウイルスとインフルエンザの同時感染も注意が必要ということです。この3年近くマスク着用やソーシャルディスタンスの確保などによりインフルエンザの流行は抑えられていますが、インフルエンザウイルスに対する人々の免疫力は低下しており、子供や高齢者、基礎疾患のあるハイリスクな人はインフルエンザのワクチン接種も推奨されています。
