昨年(令和4年)の4月に旅券法が改正され、今年(令和5年)3月27日より施行されました。パスポートの申請において以下の点が変更となりました。
1:戸籍謄本の提出
従来、パスポートの申請には「戸籍謄本」か「戸籍抄本」のいずれかの提出が必要でした。今後は、「戸籍謄本」の提出が必要となり、「戸籍抄本」では不可となりました。
2:査証欄の増補廃止
これまでは、パスポートの査証欄(ビザや出入国のスタンプを押すページ)に余白が無くなった場合、申請すれば1回のみ用紙を追加して貼り付けること(増補)が可能でした。
しかし改正後は、査証欄に余白がなくなっても増補はできません。今後は下記いずれかの申請をします。
(1)有効期間が元の旅券の残存有効期間と同じ「残存有効期間同一旅券」の発給申請
(2)切替申請として新たな旅券(5年又は10年の有効期間)の発給申請
3:手数料の変更
発行後6か月以内に受領されなかったパスポートは失効しますが、令和5年3月27日以降に申請したパスポートが6か月以内に受け取られず失効した場合、失効から5年以内に新たなパスポートを再申請する際は、手数料が通常よりも高くなります。
パスポート(10年間有効)通常16,000円→22,000円
パスポート(5年間有効、12歳以降)通常11,000円→17,000円
パスポート(5年間有効、12歳未満)通常6,000円→12,000円
4:申請書の変更
令和5年3月27日から、「パスポート発給等のための申請書」の様式が変更されます。古い様式の申請書は今後使用できなくなります。
<オンライン更新申請>
そして令和5年3月27日より、パスポートの更新申請がオンラインで可能となりました。手続きには日本政府が運営する「マイナポータル」と「マイナンバーカード」を利用します。従来の申請方法では申請と受取のため窓口へ2回行く必要がありましたが、今後はオンラインで更新申請し、受取の1回のみ窓口へ行くだけで済むようになります。オンラインで更新申請が可能なケースは下記のいずれかとなります。
1:パスポートの残存期間が1年未満の場合
2:パスポートの査証欄の余白が見開き3ページ以下になった場合
上記のいずれかに当てはまらない新規のパスポート申請や、手元のパスポートが失効している場合、戸籍上の氏名や本籍に変更があった場合などはオンライン申請の対象となりませんので、従来通り窓口で戸籍謄本を提出して申請する必要があります。
スマホを利用したオンライン申請の流れ:
1:マイナポータルアプリにログイン(パスポートの受取窓口を選択)
2:顔写真の撮影、署名(サイン)の撮影、申請者情報の入力
3:マイナンバーカード、手元のパスポートの読み取り、署名用電子証明書の付与
申請後、マイナポータルにパスポートの交付予定日が通知されます。交付予定日から6か月以内に必ず受け取るようにしましょう。手数料は窓口で支払います。
<海外からのオンライン更新申請>
そして、令和5年3月27日より海外からパスポートの申請がオンラインでも可能になりました。利用するには外務省のオンライン在留届(ORRネット、Overseas Residential Registration Net)の登録、及びオンライン在留届の提出が必要です。パスポートの受取のみ領事館の窓口へ出向きます。もちろん従来同様に窓口での紙による申請も可能です。
まずはオンライン在留届(ORRネット)にログインし、在留邦人用旅券申請スマホアプリ「パスポート申請(海外在留邦人用)」を通じてオンライン申請をします。戸籍謄本の提出が省略される切替申請の場合においてオンライン申請が可能です。新規申請や、記載事項の変更申請に戸籍謄本が必要な場合は窓口での提出が必要ですが、日本の書留に準ずる送付方法(香港郵政のRegistered Letter、澳門郵政のRegistered Mail等)であれば、戸籍謄本の原本を郵送で提出することも可能です。
<戸籍謄本の取り寄せ>
海外在住の場合、戸籍謄本を取り寄せるにはいくつかの方法があります。自治体によって異なる場合がありますので、まずは本籍のある自治体のホームページ等で、申請方法の詳細について確認しましょう。ほとんどの自治体では下記のように案内されています。
方法1.日本国内在住の方に代理取得してもらう
日本国内在住の親、子、など直系の親族、配偶者が代理で申請する場合、委任状は不要です。
友人、知人など上記以外の人が代理で取得する場合は委任状(原本、コピー不可)が必要です。
方法2. 本人が海外から直接郵送で請求する
海外在住の請求者本人が、本籍地の自治体に直接連絡を取って必要書類を郵送し、戸籍謄本を海外の自宅へ送ってもらいます。基本的な必要書類は下記の通りです。
・本人確認書類(パスポート、国際免許証など)のコピー
・海外の現住所が証明できる書類(本人宛の公共料金の支払書等)のコピー
・請求書
・返信用封筒(氏名、住所を明記)
・手数料+返送時の郵送料(日本の郵便定額小為替証書か、日本円)
※手数料+郵送料については、日本国内在住の方から別途送付することもできます。