ネオンの灯とクリスマスの光:香港の冬の魅力

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ネオンの灯とクリスマスの光:香港の冬の魅力

100万ドルの夜景を誇る香港の1年で最もきらびやかな季節がやってきました。香港のあちこちでクリスマスイルミネーションが始まっています。香港の代表的なイルミネーションスポットを紹介します。

・尖沙咀エリア

まずは定番のペニンシュラホテル、今年もシャネルとのコラボレーションで、ホテル全体をリボンで結んだデコレーションが印象的です。隣の1881ヘリテージも歴史的建築物と豪華なクリスマスツリーとのコントラストが美しく、人気の写真スポットになっています。毎年注目されているハーバーシティの屋外インスタレーションは、今年は日本人のミニチュア写真家で見立て作家の田中達也氏によるアートプロジェクト「The Big Little Christmas」が開催されます。ギャラリーでの展示の他、オーシャンターミナル側の屋外インスタレーションは全長28mに設置され、田中氏のミニチュア作品が等身大の大きさに拡大されて展示されます。写真スポットは5か所あり、訪れた人はミニチュアの世界に入り込んだような不思議な錯覚が味わえます。

尖東周辺は市政局百周年記念花園の周辺一帯、尖沙咀中心、帝国中心などビルの壁面を使って大きく描かれたデコレーションが定番で、今年も道行く人を楽しませてくれます。

西九龍文化区では11月22日から2025年1月1日まで「香港ウィンター・フェスタ」が開催され、香港一の高さを誇る屋外クリスマスツリーが設置されます。今年もこのエリア内にはクリスマスタウンが登場し、サンタクロースに会えるクリスマスロッジなど、おとぎ話の世界が広がります。また12月24日~26日の20時からは、西九龍ウォーターフロントの上空で花火が打ち上げられます。さらに期間中の週末にはクリスマスマーケットも開催されますので是非足を運んでクリスマス気分を盛り上げましょう。

・香港島エリア

毎年クリスマスデコレーションが美しい中環のIFCモール、今年は「Santa’s Magic Toy Factory(サンタの魔法のおもちゃ工場)」というテーマで写真スポットが8つ設置されます。

大館(Tai Kwun)には高さ12mのクリスマスツリーが設置され、12月14日からは「Tai Kwun Circus Plays: A Whirl of Fun and Wonder」が開催されます。

湾仔の利東街では光り輝くイルミネーションが点灯しています。今年はベルギーの国際的な受賞経験をもつデザインチーム「GLOBALL Concept」を招いてライトアップインスタレーション「Dazzling Christmas」を開催し、ベルギーの伝統的なレース工芸と、モダンなイルミネーションを組み合わせたロココ調の幻想的なアレンジになっています。

・香港ディズニーランド

香港ディズニーランドではすでに「ディズニー・クリスマス2024」が開催中です。ミッキーやミニーをはじめ、キャラクターたちがクリスマスの衣装でゲストを迎えてくれます。「アナと雪の女王」がテーマのワールド・オブ・フローズンでは初めてのクリスマスイベントの実施ですので、是非ディズニーホテルにも宿泊してクリスマスを満喫しましょう。

今の季節イルミネーションで美しく飾られる香港、もともとクリスマスに限らず香港といえばネオンがまばゆい街というイメージですが、その様子はこの数年で変わりました。

夜になるとあちこちで光り輝く香港のネオン看板(霓虹燈招牌)は、1950年代に香港で流行が始まりました。高度成長期だった日本の街中の看板を参考にして発展したといわれています。1960年から1980年にわたる香港の経済成長に伴ってネオン看板は徐々に増え続け、1980年から1990年が黄金期でした。活気ある香港の街並みを象徴するかのように、飲食店、質屋、娯楽施設、雀荘、など様々なお店が競ってネオン看板を取り付けました。狭い香港の街中で、それぞれがより目立つようにと形や色などを工夫し、道路に大きく看板をせり出して他の看板と重ならないように自己主張しました。そして、その看板だらけの街並みこそが香港ならではの風景となりました。

しかし2000年に入ると建築法等により、ネオン看板のサイズ、高さに制限が設けられるようになりました。経年劣化、老朽化による看板の落下事故が増加し始めたためです。ネオン看板を撤去する動きになり、2010年の法律改正で設置基準が厳格化されました。それにより2020年にはネオンサインの9割が消滅してしまったと言われています。

ネオン看板の全盛期を支えた影には多くのネオン職人がいました。ネオン業界の職人たちはその作り方を門外不出としていたため、多くのネオン職人には後継者がいません。今、若いアーティストたちによってネオン看板がアートとして注目されていますが、ネオン職人からその技術を学ぶのは簡単ではないといいます。

ネオン看板の現在について描かれた2022年製作の香港映画「燈火闌珊(A Light Never Goes Out)」があります。邦題「燈火(ネオン)は消えず」のタイトルで日本でも上映されました。ストーリーはネオン看板職人だった夫を亡くした妻が、夫の製作中だった最後のネオン看板を完成させることを決意し技術を継承していくという内容で、かつて香港の夜景の象徴だったネオンが消えゆく現在、その灯を消すまいと奮闘する職人たちの心意気、夫婦愛が描かれています。