香港は旧正月を迎えました。新年あけましておめでとうございます。皆様にとって素晴らしい一年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。香港では新年を迎えてから人に会うと、「新年快樂(あけましておめでとう」「恭喜發財(儲かりますように)」「身體健康(健康でありますように)」「萬事如意(すべてがうまくいきますように」などお祝いの言葉をたくさん言い、相手が素晴らしい一年を過ごせるよう祈願します。
毎年、旧正月の連休には多くの香港人が海外旅行に出かけますが、円安の後押しもあり、多くの香港人が日本旅行を楽しみました。2024年の訪日外国人の国・地域別に多かった順位は1位が韓国、2位が中国、3位が台湾、4位がアメリカ、5位が香港でした。また消費額で見ると1位が中国、2位が台湾、3位がアメリカ、4位が韓国、5位が香港という順位でした。人口753万人ほどの香港が上位にランクインするほど、香港からの訪日観光客数の多さは圧倒的で、同時にリピーターが多いのも特徴です。
中国大陸は香港より休みが長く、多くの企業で2週間ほどの大型連休となるため、中国本土からは多くの観光客が香港に押し寄せます。特に昨年12月1日からは深セン居住者に対する香港入境の「マルチビザ」が再開されたこともあり、深センと香港の往来が便利になりました。深センからの観光客が香港の経済を刺激することも期待されています。
2024年は世界的な物価高もあり、香港に限らず景気が好調とはいえない一年でした。2025年は去年よりも好景気に転じる年になるといいですね。香港人にとって経済、お金はとても重視されています。新年の挨拶で「恭喜發財(儲かりますように)」、「年年有余(暮らしに余裕がありますように)」と口にするように、香港人は商売をしている人に限らず、誰もがお金を増やすことに高い関心をもっています。新たな一年の初めに、今年は香港人のマネー習慣、お金の考え方をご紹介します。
まず投資、香港は株式投資によって得られた利益に対して課税されません。そのため株式投資は気軽に始められ、お金を増やす重要ツールとして浸透しています。お昼休みなどに香港人をよく観察してみるとスマホで株式のチャートを眺めている人が身近にいることでしょう。
そして不動産、香港の不動産は上下しながら推移していますが全体的に右肩上がりです。狭い土地に人口密度が高い香港の高額な不動産を購入することは簡単ではありませんが、購入したならそれは貴重な資産となります。
今でこそ日本もようやくお金の教育に着目し、マネーリテラシーを高めようと義務教育で取り入れ始めていますが、少し前までお金の話をすることはタブーという風潮がありました。年齢層が高くなるほどその傾向は強く、もっとお金を稼ぎたい、もっと儲かりたいという態度を見せるのは、あまり好まれません。香港ではそんなことはなく、お金持ちになりたいと思うことは当然で、お金をたくさん稼ぐと生活が豊かになり、選択肢を多く持つことにつながると考えています。
香港人と一緒にいると「それいくら?」と物やサービスの値段を聞いてきます。身につけている物、持っているもの、現在もらっている給与、不動産をいくらで買ったのかなど、様々な値段を尋ねてきます。彼らはモノの相場に興味があり、その情報は価値を図る上でのデータベースになります。彼らは常に商機を狙っており、何か商売のネタになりそうなものを見つけると、一攫千金を狙うべく起業を考えたりします。
転職するなら、給与は何よりも重視されるべき項目です。日本では求人を出すときに給与額はあらかじめ決まっており、その金額で人を採用するスタイルです。香港の場合は自分にどういったスキルがあり、それをその企業のためにどう生かせるか、自分はどのくらいの給与に見合った人間かをアピールし、会社と給与額について話し合います。もちろん給与に納得できないと合意に至りませんし、たとえ働き始めても途中で給与の低さを理由に辞めてしまいます。
香港人の気性として何事も急いで、早いことが好まれます。彼らに言わせると「効率重視」です。せかせかしているため一見、気が短いように感じられますが、根底にあるのは「Time is Money(時は金なり)」という概念です。近年の日本でも若者世代が特に重視する「タイパ」、タイムパフォーマンスも同じことです。残業代がつかないのに居残って残業したところで一円にもならないのなら、定時に退社することに躊躇いはありません。
そしてお金を好む香港人はケチなのかといえば、全くそんなことはありません。一緒に食事に出かけると日本のような「割り勘」の場面は少なく、奢ってくれることも多いでしょう。奢られたり、奢り返したりすることで人間関係が続いていくという習慣があり、こうすると割り勘よりも相手への親近感や繋がりが感じられます。保守的に貯めるよりも稼いで運用、自分や人のために使って、積極的にお金を回すことで経済効果が生まれるのでしょう。