香港政府の企業向け補助金制度

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香港政府の企業向け補助金制度

香港は世界から見ても今なお魅力的な投資先で、多くの日本企業が香港に拠点を置いています。香港政府も海外企業の誘致に積極的なため、香港には会社の設立から事業拡大、市場開拓などビジネスの様々なステージに合った補助金制度が整備されています。

香港政府による現在の中小企業(Small and Medium Enterprise)向け補助金制度は70種類以上あり、最新の情報は「SME LINK」(https://www.smelink.gov.hk/en/web/sme-portal/government-funding-schemes.html)で確認できます。

中小企業の補助金制度の利用を促すため、2020年より香港生産力促進局(HKPC)による中小企業向けの補助金に関するサポートチーム「中小企資援組/SME ReachOut」(https://smereachout.hkpc.org/home)が活動しており、各種補助金の申請をサポートしています。企業と1対1での対面による相談に応じ、その企業に最適な補助金制度を一緒に考え、申請書類の作成に至るまで各種の支援を実施しています。

数ある補助金制度のうち、香港の日本企業も利用することが多い代表的な二つの補助金制度をご紹介します。

<SME Export Marketing Fund>

中小企業輸出マーケティング基金     (https://www.smefund.tid.gov.hk/english/emf/emf_update.html

香港の中小企業の輸出促進活動を支援するために工業貿易署によって設立された基金です。中小企業による香港から香港域外へのビジネス市場拡大を支援します。香港域外の市場を対象にした香港内・外で開催される展示会、オンライン展示会、企業ウェブサイトやモバイルアプリの開設や機能向上などに関するプロジェクトの資金を支援します。

・対象企業:香港の《商業登記條例》(第310章)に基づき商業登記していて、香港で実質的に事業を行っている中小企業(非上場企業)。また、申請対象の広報活動、関連サービスの主催者、共催者、サービス提供者の関連企業ではないこと。

・上限金額:100万香港ドル/企業

・支給内訳:申請受理されたプログラム1件につき企業側支出総額の25%(補助金:企業=1:3)、または10万香港ドルのいずれか低い方の金額が補助される。

申請の回数は問わないが1企業につき補助される累計金額の上限は100万香港ドル、そのうち最大50%はウェブサイトやモバイルアプリの開設や機能性向上に活用可能。

<Dedicated Fund on Branding, Upgrading and Domestic Sales (BUD基金)>

販売市場の拡大のための特別資金、ブランディング及び域内販売促進基金(https://www.bud.hkpc.org/index.php)

中小企業が香港から海外進出するのを支援するBUD基金は香港生産力促進局(HKPC)が設立した基金です。中国本土及びASEAN/FTA/IPPAを締結している40の経済圏において、企業がブランド開発、ブランド力の向上・改革、事業改革、先進技術の採用、マーケティング、プロモーション等を展開できるよう支援します。一般申請の他、より多くの香港企業が利用できるよう2023年6月からは申請手続きを簡素化した「申請易/Easy BUD」も開始され審査がよりスピーディになりました。また、2024年7月からは「電商易/E-commerce Easy」がスタートし、Eコマース事業で中国本土市場を開拓する企業を支援しています。

・対象企業:香港の《商業登記條例》(第310章)に基づき商業登記していて、香港で実質的な事業運営をしている中小企業(非上場企業)

・補助の範囲:中国本土、ASEAN/FTA/IPPA締結している40の経済圏向け

・上限金額:700万香港ドル/企業

・支給内訳:一般申請、E-Commerce Easyは1プロジェクトにつき上限80万香港ドル、Easy BUDは上限10万香港ドル。プロジェクト数は最大70件まで可能。

その他、香港政府が特に力を入れている分野である生命・健康技術、AI(人工知能)、サイエンス、新エネルギーなどに関する業種の企業へ特化したの補助金制度もあります。また香港科技園(Hong Kong Science and Technology Parks)や數碼港(Hong Kong Cyberport)は、入居企業のスタートアップを支援する補助金制度があります。

香港科技園(Hong Kong Science and Technology Parks)

香港サイエンスパークは沙田エリアにある香港政府による研究開発センターです。このセンターの最大の特徴は設備投資が難しい中小企業やベンチャー企業であっても、大企業と同様の共同施設で研究開発が行えることです。入居企業向けには様々な支援があり、スタート時のインキュベーションプログラム「Incu-Bio」はプロジェクト期間4年で600万香港ドルの補助金が支給されます。さらに研究開発の費用補助、研究人材への助成金、資金調達のプログラムがあり頼れる支援が充実しています。

香港數碼港(Hong Kong Cyberport)

香港島の西南部に位置するサイバーポートは香港政府100%出資の企業が運営するテクノロジーとデジタルコンテンツ企業が入居するビジネスパークです。「Cyberport Incubation Programme」では、事業開発、資金調達、新卒インターンの雇用、無料のワーキングスペースなどの各種サポートを提供します。プロジェクト期間は24か月、最大50万香港ドルの支援があります。

最後に、補助金制度を利用するにあたって政府を装った詐欺に遭わないよう注意が必要です。近年、香港で発生した犯罪のうち約4割は詐欺事件で、日系企業を狙ったオンライン詐欺、送金詐欺、投資詐欺などが後を絶ちません。香港政府の機関から委託された、補助金制度のコンサルタント事業をしている、など怪しい勧誘をしてくる業者には注意が必要です。