旧正月を迎えた香港、新たな一年が始まりました。2026年は午(うま)年です。「十干」と「干支」の組み合わせでは「丙午(ひのえうま)」にあたり、丙も午も火を表すことから、躍動感あるエネルギーに満ちた一年になると言われています。新しい一年が明るい年になることを願って、2026年の香港の展望についてまとめます。
<経済>
2026年の香港経済は前年に続いて成長が見込まれています。2025年の香港のGDPは3.5%成長と持続的にプラス推移しており、香港経済は回復が続いています。2026〜2027年度の予算においても、GDPの経済成長率は約2.5〜3.5%になると予想されています。また香港政府は2月25日、2025年度(2025年4月~2026年3月)の財政収支は29億香港ドルで4年ぶりに黒字の見込みを発表しました。これは香港が先進都市として成長水準にあり、地域・世界経済の影響を受けながらも一定の拡大が見込まれていることを示しています。
<輸出、貿易>
香港の輸出は好調で、2025年12月には過去最高額を記録しました。2026年も引き続き、電子関連、AI関連、テクノロジー関連製品の輸出が伸びる見込みで、輸出の成長率は前年比8〜9%アップが予想されています。香港の輸出総額の7割以上は電子関連で、主要な輸出先は中国本土、東南アジア向けです。香港政府は更なる自由貿易協定(FTA)や投資協定の締結も模索しており、今後は中東や中央アジア市場の開拓を進める方針です。
<不動産>
香港の住宅価格は長らく低迷期にありましたが、2025年から回復傾向に転じ、2026年は市場に明るい兆しが見られそうです。専門家や有識者によると、香港の不動産価格は10%~15%の上昇が予想されています。その背景にあるのは低金利政策、住宅ローンの条件緩和、株式市場の好調、中国本土からの需要増加などです。冷え込んでいた不動産市場が底打ちとなると、今後の回復期には建設や関連産業に対する投資や雇用にも、好影響が出て来るでしょう。
<雇用、労働市場>
雇用環境は比較的安定しているものの、香港の2025年11月~2026年1月の季節調整済み失業率は約3.9%で、前期の3.8%から更に上昇しました。これは2022年9月以来の最高水準でした。この失業率の上昇は一部の分野 (保険、建設、金融)での調整が背景にあると分析されています。雇用市場全体としては安定しており、特に観光・小売・物流での求人需要が目立っています。社会全体では、国際都市として多様な人材の活用、高度な教育・職業訓練が引き続き重要とされています。
<観光>
2026年の観光業は、コロナ後の回復が一段と進む見込みです。2025年の訪問者数はおよそ4,990万人と12%増加し、香港政府観光局も2026年は5,000万人超を目指すと明言しています。内訳は中国本土からの観光客が大半を占め、この旧正月も香港の観光需要を押し上げました。中国本土以外からは、台湾・日本・東南アジア等からの旅行者が伸びています。ホテルの稼働率も好調で、イベントや大会が観光・小売・飲食業の活性化に寄与するでしょう。一方、需要の増加に伴うインフラ整備、人材確保、観光地のオーバーツーリズムへの対応が今後の課題となっています。
<イノベーション、テクノロジー>
2026年の予算で香港政府は、AIや新技術の分野へ重点的に投資すると発表しました。AI関連の研究・産業基盤構築を支援するため、研究開発や産業化推進の枠組みが整えられており、長期的な競争力の強化につながります。さらに、香港は新興技術企業の誘致・育成にも力を入れており、国際的イノベーションのハブとしての地位を確立しようとしています。大学や研究機関も国際的な研究連携を進め、テクノロジーを基盤とした産業の多様化が進行しています。
<医療・社会福祉>
高齢化が進んでいる香港では、医療・福祉環境の整備が重要なテーマになっています。公立病院の設備の入れ替え、新たな病院の建設計画が進んでおり、プライマリーヘルスケアの強化や、地域医療サービスのネットワーク強化が予算案に盛り込まれています。公立病院の医療費の見直しが進む一方で、低所得者向けには医療費減免制度が拡大されます。遠隔医療の導入など、より効率的な医療サービスの提供が進んでいます。また高齢化に対応するため介護・福祉サービスの需要は年々高まっており、福祉業界の人材育成、施設の拡充が今後の課題です。
<教育>
香港の教育機関では研究力の強化、国際連携が進んでいます。特にAIやテクノロジー分野の人材育成に力を入れる動きが見られます。インターナショナルスクールやバイリンガル教育の需要も高く、多文化環境を活かした教育の機会が提供されています。教育面でもデジタル教育の推進は不可欠で、高等教育における国際化を進める政策、非ローカルの学生受け入れ枠の拡大、学生寮の整備計画が進行中で、香港を教育ハブとして強化する方向性が見られます。教育環境の整備が進む一方で、出生率の低下や政府の財政負担の増大は、長期的な課題となっています。フォームの始まり
2026年の香港は多方面で回復と強化の動きがみられる一年になりそうです。香港は世界経済やアジアの地域成長と密接に関連しており、国際的な都市としての魅力を発揮しながら更に発展して行くことでしょう。