香港では3月後半から気温が上がり、蒸し暑い季節がやってきました。3月19日には九龍の天文台で30度を記録、観塘では30.9度、上水では32.6度を記録し、この時期すでに30度を超える気象には近年の気候変動が影響しているようです。また、昨年10月は記録的な暑さで、12月~2月も平均気温が19.3度と高かったので、この冬は寒冷警報が一度も発令されない観測史上最も暖かい冬でした。4月にかけて今後ますます気温が上昇し、湿度も上がって蒸し暑さが増してくるでしょう。
香港天文台は3月23日、今年の台風予想を発表しました。それによると台風シーズンは今年6月頃から始まり、10月頃に終わる見通しで、香港の半径500㎞以内に接近する台風(熱帯低気圧)の数は4~7個と予測されています。昨年は14個という記録的な数の台風が香港に接近しましたが、今年は平年並みになりそうです。また、今年の後半にエルニーニョ現象が発生する可能性については、世界各地及び海上での猛暑リスクを高めるとも言われています。地球温暖化の影響で、今年の香港の平均気温は平年よりも全体的に高めになりそうです。
台風だけではなく、豪雨や局地的な大雨にも注意が必要です。昨年はブラックレイン(黒色暴風雨警報)が5度も発令され、1992年に暴風雨警報システムが運用されて以来の記録を更新しました。 昨年9月にシグナル10を発令した台風Ragasa (樺加沙)が香港を襲った際には、多くの沿岸地区で高潮が発生しました。海面水位が大幅に上昇して高潮が防波堤を乗り越え、それによりホテルのガラス窓が損壊されたり、沿岸地区では浸水が発生したりするなど深刻な被害をもたらしました。
こういった近年の気候変動による台風や大雨の可能性を見据え、香港政府は悪天候に対する防災対策を以下のように強化しています。
<洪水壁・可動式バリアの設置>
低地や沿岸の要所に洪水壁や可動式の防潮扉を設置し、海水が陸に押し寄せるのを物理的に防いでいます。また排水口部分には逆止弁を取り付け、海水の逆流を防止しています。
<排水能力の改善>
低地での浸水リスクを減らすため、排水路やポンプ施設の強化、維持、管理を行っています。こういったインフラ整備が暴風雨時の浸水被害の緩和に繋がっています。
<早期警報システムの強化、海面のモニタリング>
香港天文台は、複数の潮位観測所や波浪計で海面や波の高さを常時観測しており、今後は防波堤を超えるレベルの高潮が発生する可能性がある場合、警報が出されます。
<市民への情報提供>
香港天文台のウェブサイトでは新機能として沿岸海面水位(試験版)が登場しました。
https://www.hko.gov.hk/tc/tide/marine/realtide.htm
これにより香港内の14か所の潮位観測所で今後12時間の水位の最新予測を確認できるようになりました。香港天文台のモバイル用アプリにも、リアルタイム潮位マップに総水位予測情報が追加されました。
香港は海に囲まれた地理的な特徴から、台風や大雨による被害は深刻です。今後は政府の様々な対策と共に、市民一人ひとりの備えも重要になってきます。天文台の発表や情報を元に、避難経路や安全な場所を事前に把握しておくことも大切です。
さて、まもなくイースターの季節です。今年の香港のイースター休暇は4月3日(金)~7日(火)で5連休です。そのうち4月5日(日)は清明節で、2026年は珍しく二つの祝日が重なっています。清明節は太陽暦(グレゴリオ暦)をベースにしており毎年4月4日~6日でほぼ固定されていますが、イースターは月の満ち欠けによって決められているため、「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」で決まり、毎年3月下旬~4月下旬の範囲で変動します。二つの祝日が重なるのは10年~15年に一度の珍しい年で、前回このように清明節とイースターが重なったのは2012年4月8日でした。14年後の今年が4月5日、次回はさらに11年後の2037年4月5日に重なる予定です。香港では祝日が日曜や他の祝日と重なった場合は、その翌日が振替休日になるため、今回は4月6日(月)が清明節の振替、4月7日(火)がイースターマンデーの振替になっています。本来イースターは宗教的な記念日ですが、香港では連休を利用して旅行に出かけたり、家族イベントを楽しんだりする人が多く、今年もイースターには各地で親子向けのイベントが開催され、ホテルやレストランでイースターをテーマにした特別メニューが登場します。 また、4月1日~12日は第50回香港国際映画祭が開催されます。日本でも大ヒットした「九龍城寨之圍城(トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦)」により香港映画への注目度が再び高まっており、また今年は記念すべき50回目の開催で、200本以上の作品を上映予定です。そして50回目の記念として、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の代表作の一つ「花様年華」のコンサートが開催されます。日本でも香港映画ファンに愛されている映像が美しい作品で、香港フィルハーモニー管弦楽団が、巨大なスクリーンを背景に作品内で流れた音楽を演奏します。映画祭のチケットは公式ウェブサイトから購入できます。