香港ブックフェア
今年も夏の風物詩「香港ブックフェア(香港書展)」が湾仔の香港コンベンション&エキシビションセンターにて2025年7月16日(水)から22日(火)までの7日間、開催されます。1990年から続く香港ブックフェアは、今年で35回目となりました。このフェアは業界のバイヤー向け見本市に留まらず一般の人々にも人気があり、世界各国・各地域から今年は約770もの出展者が参加します。書籍の購入はもちろん、ワークショップ、交流会、イベント等も行われますので、開催期間中に何度でも足を運びたくなります。今年のテーマは「食文化・未来の生活」で、それらに関する書籍を中心に食と健康、ライフスタイル、テクノロジーを駆使した未来像など、様々な切り口から展示が行われます。日本からは芥川賞作家の九段理江さんが来港するトークイベントもあります。入場料は大人30香港ドル、子供10香港ドル、60歳以上無料、さらに1990年生まれの方は35周年を記念して無料になります。
また「香港スポーツとレジャーエキスポ」、「お菓子の世界(ワールド・オブ・スナック)」フェアも同時開催されます。「香港スポーツとレジャーエキスポ」は日常のエクササイズ用から本格的な競技向けまであらゆるスポーツ用品が揃い、アウトドア用品も豊富に展示されます。「お菓子の世界」ではチョコレートやキャンディのワークショップ、世界各地のお菓子、懐かしの駄菓子、美味しくてヘルシーな健康志向のおやつ、パーティで人気のスナック菓子などありとあらゆるお菓子が展示され、見ているだけでも楽しくなります。
香港ブックフェア公式サイト: https://hkbookfair.hktdc.com/en/index.html
香港ドルの動きとドルペッグ制
さて、最近の香港ドルの値動きは近年まれにみる激しさで、香港金融管理局(HKMA)が通貨防衛に乗り出しています。香港ドルは1983年から米ドルとのペッグ制(固定相場制)が採用され、米ドルと連動して動く特殊な通貨です。為替レートが1USD=HKD7.75~7.85の狭い範囲内を逸脱せずに取引されるようHKMAが為替介入や金利の調整を行いながら、この範囲内に収めるよう管理しています。7.85に近づいたら香港ドルを買い入れて金利を上昇させ、7.75に近づいたら香港ドルを売って金利を下げます。ペッグ制により対米ドルの急激な上昇や暴落がないことから、香港ドルは常に安定している通貨と言われてきました。その香港ドルがこの数か月、許容範囲内とはいえ頻繁に上下に行き来する動きを見せています。1年の間にKHMAが上限と下限のために2度も介入するのは初めてのことで、その背景にアメリカ大統領の影響が挙げられています。ペッグ制については廃止案、許容範囲の拡大、変動相場制の導入、米ドルの代わりに人民元と連動する案、金と連動する案、など様々な憶測や専門家の見解が度々取沙汰されますが、現時点でHKMAは米ドルとのペッグ制を継続するとしています。
また香港のドルペッグ制はカレンシーボード(Currency Board)制を採用しています。これは「中央銀行が自国通貨の国内供給量に見合う特定の外貨を保有する制度」で、つまり香港ドルが発券銀行(HSBC銀行、スタンダードチャータード銀行、中国銀行)から発券されるごとに、それに相当する額の米ドルがHKMAに預けられます。域内で供給される量に見合う米ドルをHKMAが100%バックアップで保有していることになり、香港ドルは米ドルに裏付けられていることになります。この制度により香港ドルは信頼が高まり、通貨の安定に繋がっています。
FPS(轉數快)と本土のIBPSが連携
2025年6月22日より、香港の決済システム「FPS」と、中国本土のインターネットバンキング決済システム「IBPS」が連携し、香港と中国本土の間でリアルタイム送金ができるサービス「Payment Connect(跨境支付通)」の運用が始まりました。これにより香港と中国本土の間での越境送金をダイレクトに実行できるようになります。香港から本土向けに送金する場合、利用者は香港IDカード保有者が対象、必要なのは送金先の携帯電話番号か口座番号のいずれかです。サービスは24時間対応で、送金限度額は一日1万香港ドル、一年の上限は20万香港ドルまでです。本土から香港向けの送金は、利用者は中国本土の身分証の保有者が対象、サービスは朝7時~23時まで、送金限度額は米ドルで年額50,000ドル相当です。
香港のFPS (Faster Payment System/轉數快)は2018年9月30日からサービスを開始した金融決済システムで、日常生活に広く浸透しています。FPSにより相手の口座番号がわからなくても、相手の口座に紐づけされた携帯番号、メールアドレス、FPS IDなどで送金が可能になりました。手数料も不要で、送金口座と受取口座の銀行が異なっていても無料です。家賃、公共料金、医療費、お店での支払いなど様々なシーンで利用されています。またFPSは銀行間だけでなく、香港の交通系ICカードのオクトパス、電子決済サービスのAlipay、Wechat Payなど他の決済システムとも相互送金でき、多様化する決済手段の垣根を越えて自由に送金ができる画期的なシステムです。FPSはASEAN諸国でも急速に拡大しており、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなどでもサービスが開始されており、将来的には本土以外とも連携が進む日が来るかもしれませんね。