香港所得税申告に関して

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香港所得税申告に関して

3月に入って香港の気温は上がり3月上旬には30度を超えた地域もありました。今年に入って以来の最高気温も更新し、市内では25度を上回るなど早くも夏の気配すら感じさせる気候になりました。これから湿度も上がって雨季に入ると霧が多く発生します。

2023年度の電子消費券については、5,000ドルの配布時期が公表されました。1回目は4月16日に3,000ドル、2回目は7月16日 に2,000ドルが配布されます。香港政府の2023/2024年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の財政予算案においては今回の電子商品券の配布で経済の活性化を図る他、個人への支援として今年も所得税等の減免が決定しています。

具体的な優遇政策の主な内容:

・2022/23年度の法人税、給与税、個人所得税から上限6,000香港ドルで100%減免。

・2023/24年度の第1四半期、第2四半期の居住用不動産、非住居用不動産の固定資産税を、四半期あたり1000香港ドルずつを上限に減免。

・基本児童手当、2023/24年度に出生した子供の児童手当を従来の12万ドルから13万香港ドルに増額。

・一般家庭において住宅を初めて購入する際、印紙税の従量税率を調整。

・65歳以上の従業員のために雇用主が支払ったMPFの任意拠出金の税額控除を従来の100%から200%へ。

もともと香港は日本など諸外国と比べると税率が低く、法人税や所得税も低いため海外企業の誘致や優秀な人材確保に非常に有利で、これまで経済発展を遂げてきました。輸出入に関わる税金においても、ご存じの通り自由貿易港の香港は輸出入における「関税」は全ての品目においてありません。酒類、タバコ、炭化水素油(ガソリン、ディーゼル油)、メチルアルコールの4項目にのみ「物品税」が発生します。もともと税率が低い上に、減税となると香港の歳入源が気になるところですが、日本の歳入が税金や国債なのに対し、香港は法人税、所得税の他に土地収入も大きな割合を占めています。香港の土地は政府が所有しており、歳入増のため長期の借地権が入札にかけられています。所得税など目に見える税率は低めですが、実は住宅に払っている高い賃料も香港の歳入に繋がっています。

さておき、今期も所得税が減免されるということで、香港の給与所得税、個人所得の申告についておさらいしておきましょう。

<給与所得税の申請と納税の流れ>

香港では日本のように毎月の給与から所得税が天引きされませんので、一年に一度、自分で所得税の申請を行わなければなりません。日本でいうところの確定申告を行うようなイメージです。申告の対象期間は課税年度といって、4月から翌年3月末日までを1年間とします。今年の申請年度が「2022/23」となっているのは2022年4月から2023年3月の実績分と、2023年4月~2024年3月の見込み分の2年分が対象となるからです。給与所得税は、香港で就業した収入に対して課税されます。給与の他にダブルペイ、賞与、コミッション、諸手当などの臨時収入、年金も課税対象となります。一年前分の給与明細を焦って探す必要はなく、香港では勤務先の会社から受け取る「給与支給状況表」を参照し税務局に所得税の申請書を提出します。

―4月頃―

香港では毎年4月になると香港税務局(IRD)から雇用主宛に「雇用主支払報酬申告書(Employers’ Return, Form B.I.R.56A & I.R.56B)」が発行されます。雇用主は課税年度(前年4月~今年3月)に支給した給与を従業員ごとに個別の申告書を作成し、1か月以内に香港税務局に提出します。この時に申告した内容の写しは従業員に渡されます。

―5月頃―

5月になると、個人あてに「個人所得税の申告書」が郵送で届きます。前述の勤務先から受け取った写しを参考にしながら、「個人所得税申告書(Tax Return Individuals, Form B.I.R.60)」を記入して、期限内(発行日から1か月以内)に税務局に申告します。もし雇用主からの給与所得以外に、副業や不動産収入など他の収入があれば一緒に記入します。

―8月~11月頃―

毎年8~11月頃に、税務局から決定した納税額が記載された「確定納税通知書」が郵送で届きます。申告したのは昨年4月~今年3月ですが、納税金額は「今期の納税額」と「次期の予定納税額」の2期(2年)分の合計となっています。納付書(Payment Voucher)が同封されていますので、忘れず期日までに最寄りの郵便局や、銀行ATM、ネットバンキング、コンビニなどから納付しましょう。納税期限は2回に分割されており、75%を翌1月まで、残り25%を翌4月までに支払うようになっています。香港では毎月の給与から所得税が天引きされない分、毎月の手取りは控除が少なく感じますが納税する時のためにまとまった金額を残しておくと良いです。

もし次年度になってみて実際には退職や転職などで不就労の期間が発生したり、収入が減ったり当初の見込みよりも収入額が減った場合、税金の還付がされます。その場合は確定納税通知書ではなく小切手が同封されています。また、香港で就労して1年目には納税通知が届かず2年目から届きます。そのため初回には課税期間の1年目と2年目の2年分を納税します。