不動産関連の政策緩和と香港の税制

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不動産関連の政策緩和と香港の税制

2月28日、香港政府は2024/2025年度の財政予算案を発表しました。その中でも特に人々の関心が高かった項目のひとつが、住宅取引における印紙税の即時撤廃です。印紙税とは、香港内で不動産売買の際に課税されるもので三種類あります。

1.「購入者印紙税(買主印紙税、BSD)」

非香港永久居民(香港の永住権を持っていない外国人、本土の中国人など)が個人や法人の名義で住宅を購入する際に課税される印紙税15%です。

2.「新住宅印紙税(従価印紙税、AVD)」

非香港永久居民による住宅の購入には「購入者印紙税」が課せられ税率15%です。香港永久居民が2軒目以上の住宅を購入する場合や1件の売買契約で複数の住宅を購入しても15%課税されます。

3.「特別印紙税(SSD)」

不動産購入から2年以内の売却時に課せられます。住宅の短期転売を抑制するため購入から6か月以内に物件を転売した場合は転売価格の20%、6か月~1年以内は15%、1年~2年以内は10%が課せられます。

この3つにより、今までは下記のように印紙税がかかっていました。

・住宅購入の場合で永住居民の場合は「新住宅印紙税(従価印紙税、AVD)」

・住宅購入の場合で非永住居民の場合は「購入者印紙税(買主印紙税、BSD)」と「新住宅印紙税(従価印紙税、AVD)」

・住宅売却の場合で、購入から2年以内に売却するには「特別印紙税(SSD)」

今回それらが即時撤廃されました。3つの印紙税は2010年から続く不動産高騰を背景に導入されたものです。香港の不動産価格は2019年頃から高止まりでコロナ禍の2021年をピークに、住宅ローンの金利上昇、人材流出などにより急落し、現在の住宅市場はピーク時から比べ20%ほど落ち込んで低迷しています。そのため住宅需要が高まった頃に打ち出された抑制策は、もはや現在の状況に合っていないと判断され、今回の撤廃となりました。これにより不動産関連の株価は一時上昇し、市場への期待も高まりましたが、それも一時的なものという冷静な見方もあります。香港金融管理局(HKMA)は住宅ローン規定を緩和し、一部の住宅購入者は以前より少ない頭金で物件を購入できるようになりました。香港の不動産が、以前より手が届きやすくなったことを受け、新築物件への関心も高まっています。現在はその影響で中古物件の成約数が落ち込む事態となりました。

また政府は今後、高額所得者への課税を強化させます。個人の所得税は上限が15%でしたが、4月より2段階の税制が導入され、500万香港ドルまでの所得税は15%、それ以上は16%の税率となります。香港は所得税が低いことで知られていますが、今回は財政赤字の補填のため課税強化となりました。

香港は低税率で算出もシンプルなことが世界的に有名ですが、政府の重要な収入源となる税制について見てみましょう。

<給与所得税>

日本と同じく給与所得税です。香港において就業した場合の年間の収入に対して課税されます。標準税率と、段階的な累進税率(2~17%)があり、低い方の金額が採用されます。会社員であっても日本のように毎月の給与からの天引きではなく、年に一度、確定申告のような形で税務局へ申告します。日本と同様に年金も課税対象に含まれます。日本から長期出張や頻繁な出張で、1年の大半は香港にいるという人(外国籍)の場合ですが、香港滞在が1年(12カ月)のうち183日以内であれば給与所得税の対象外となります。

<固定資産税>

固定資産税(Rates)は不動産の使用に対しての税金です。香港政府が毎年公表する推定賃貸価格に基づき、税率5%が課税されます。賃貸の場合など不動産の所有者と借り手が半分ずつ納税するのが一般的ですが、双方の協議によってはどちらか一方のみが全額を納税することも可能です。

<賭博税>

賭博税は、宝くじ(六合彩、マークシックス)、沙田やハッピーバレーの競馬、サッカーくじ、など香港内の合法な賭博で得た収益に対して課税されます。宝くじの場合は25%、競馬は72.5~75%、サッカーくじは50%となっています。

<物品税>

ほとんどの輸入貨物に税金がかからない自由貿易港の香港ですが、「アルコール飲料」「たばこ」「ガソリン等の炭化水素油」「メチルアルコール」の4品目には物品税が課せられます。税金は税関に支払います。特に持ち込むことが多いと思われる、アルコール飲料は18歳以上の旅客1人当たり1リットル以内、アルコール度数が30%を超えるリキュール類には税率100%が課せられますので注意が必要です。たばこは紙巻たばこであれば19本まで、葉巻なら1本となっています。

<自動車初回登録税>

香港で自動車を所有する場合「自動車初回登録税」がかかります。税率は車両価格の46~132%です。ただし香港政府は環境へ配慮した電気自動車への乗り換えを促進しており、自家用車の初回登録税は減免措置が適用されています。 日本のような消費税が無く、所得税も低いので、香港政府の歳入が少ないと思いがちですが、政府の歳入内訳をみると、事業所得税、給与所得税の他、投資収入、土地収入、印紙税、その他となっており、投資や土地収入も財源となっていることが伺えます。