ビクトリア・ハーバー(維多利亞港)は、言わずと知れた香港を代表する観光スポットの一つです。目の前に迫りくる煌びやかな夜景は圧巻で見応えがあり、ビクトリアハーバーの周辺は毎晩多くの観光客で賑わっています。香港の象徴とも言えるビクトリアハーバーの魅力をお伝えします。
ビクトリアハーバーとは香港島と九龍半島の間に位置する、世界でも有数の天然の深水港(しんすいこう)です。全長は約9㎞、深さは最も深い場所で43m以上あります。19世紀初頭には「香港水道」と呼ばれており、単なる漁村の入り江に過ぎませんでした。イギリスが香港を植民地し始めた1841年以降から、貿易拠点として急速に発展していきます。そしてイギリスの女王「ヴィクトリア女王」にちなんでビクトリアハーバーと命名されました。20世紀前半ごろからは、香港はアジアで主要な貿易港の1つとなり大きく発展します。香港が「東洋の真珠」と呼ばれ始めた時代です。現在は貿易港としての主な機能は新界の方へ移し、ビクトリアハーバーは景観を楽しむ観光地として親しまれています。
「シンフォニー・オブ・ライツ(幻彩詠香江)」
毎晩20時から行われる光と音の約10分間のショー、ビクトリアハーバー周辺の40以上のビルが連動し、ライトやレーザーを駆使した躍動的な演出が繰り広げられます。主な鑑賞スポットは尖沙咀プロムナードで、合わせて星光大道(アベニュー・オブ・スターズ)も散歩しながら夜景を楽しむのが定番の観光です。
「スターフェリー(天星小輪)」
1888年から運行されているスターフェリーは、歴史ある交通手段です。いくつもの地下鉄が海底トンネルを通るようになり、スターフェリーは経営が厳しくなる中、今なお現役で存続しています。運賃も近年は値上がりしたとはいえ非常に安く、約8分間の船旅で波風に当たりながら香港の美しい景色を楽しめることから観光客にも人気です。ゆっくりと行き来する白と緑のレトロで可愛らしい風貌は、やはりビクトリアハーバーの景色には不可欠です。
「香港国際ドラゴンボートレース(香港國際龍舟邀請賽)」
毎年、端午節にビクトリアハーバー沿いで行われる伝統のボートレースでユネスコの無形文化遺産にも登録されています。メイン会場は尖沙咀東部のプロムナードで、ビクトリアハーバーを舞台に競い合うドラゴンボートの活気、太鼓の音で盛り上がり、周辺は市民や観光客で賑わいます。
「ニューワールドハーバーレース(新世界維港泳」
市民がビクトリアハーバーを泳いで横断できる伝統的な水泳大会です。2025年は11月22日(土)に開催されます。湾仔から尖沙咀まで約1㎞の距離を泳いで縦断します。第一回目が1906年に始まった歴史ある大会ですが、水質汚染等を理由に1978年に中止されました。そして水質改善の努力が功を奏し33年ぶりとなる2011年に再開されました。その後はコロナ禍や台風などで中止の年もありましたが、今年は開催が予定されています。
「ビクトリアハーバーの花火大会・ドローンショー」
西暦12月31日夜に新年を迎えるカウントダウンに合わせて、ビクトリアハーバーで花火が打ちあがります。また、春節や国慶節など節目のイベントでも同様に花火イベントが行われます。最近はドローンによる演出も見られるようになりました。そのままでも美しい夜景をバックに、花火やドローンによって夜空が一層華やかになります。
「水上自転車ビクトリアハーバーツアー(水上單車維港遊)」
香港政府による水質改善・埋め立て抑制の方針が進められ、ビクトリアハーバー沿いでのマリンアクティビティが活発になっています。新たな水上アクティビティ、「水上自転車ビクトリアハーバーツアー(水上單車維港遊)」をこの9月にスタートしました。水上自転車は、通常の自転車と同様に自分の足で漕ぎながら水面を進むことができます。ビクトリアハーバーの上に浮きながら間近で景色を楽しめる体験は、観光客のみならず香港市民にとっても斬新で刺激的です。
「香港島サイドのプロムナード」
香港島側のビクトリアハーバー沿いプロムナードは段階的に整備が進められていて、2028年には全長34㎞の遊歩道が完成する計画になっています。エリアごとに特色を持っており様々な楽しみ方ができます。
・水上スポーツ・レクリエーションエリア(水上運動及康樂主題區)
銅鑼湾の西側、避風塘沿いに「海浜駅」という駅のプラットホームという設定でMTRの旧車両が展示されています。実際に車両の中に入ったり写真を撮ったりすることができます。
・ハーバー・チル(海濱休閒站)
広々とした芝生とベンチがあり、多くの人が写真を撮ったり、くつろいだり、のんびり過ごしています。ペットの同伴入場もできます。
・子供向けドライブコース(維港兒童自駕遊)
バッテリカーをレンタルし、広いドライブコースを子どもたちが運転できるエリアです。車種も豊富で、トラック、カーズのマックイーンなどもあり、子ども心をくすぐります。対象年齢は2歳から8歳です。
ビクトリアハーバーは初めて訪れる人でも、長く住んでいる人でも、この景色を見れば香港らしさを実感できる魅力的な場所です。