11月26日夕方に発生した大埔の大規模火災に、香港中が悲しみに包まれ心を痛めています。亡くなられた方のご冥福をお祈りすると同時に、一人でも多く方の命が助かりますよう心よりお祈り申し上げます。香港ではホテルなどの宿泊施設が被災者の受け入れを行い、飲食店が無料で食事を提供し、また輸血に必要な血液も足りている状況とのことで、災害時における香港の人々の行動力、団結力には学ぶところが多くあります。
<ブルース・リー生誕85周年記念展>
11月27日はブルース・リー(李小龍/Bruce Lee)の誕生日です。日本はもちろん世界的なアクション映画スターで、後世に大きな影響を残しました。生誕85周年を記念して香港では現在、特別展が開催されています。
ブルース・リー生誕85周年記念展「見えない道(無形之道/The Invisible Way」
MTRと香港文化博物館が提携して香港駅の中央歩行者トンネル(~12月8日まで)、セントラル駅J出口(常設)、の2か所で開催中です。
ブルース・リーは、アメリカのサンフランシスコ生まれで香港育ちです。10代の時に詠春拳を学び、それを基礎に独自の武術「截拳道(Jeet Kune Do,ジェット・クン・ドー」を創始しました。彼に詠春拳を教えたのは、詠春拳の達人であるイップ・マン(葉文)で、ブルース・リーが最も影響を受けた師匠として知られています。その後18歳で渡米し、大学で哲学を学ぶ傍ら武道教室で指導を行いました。彼の集大成である「截拳道」とは総合格闘技の先駆的存在であり、1960年代に体系化されました。型や流派に縛られず、「最小限の動作で最大の効果を発揮する」を思想としています。効率性と実用性を重視する精神は、いかにも香港人という印象を受けますね。ブルース・リーの名言である「考えるな、感じろ(Don’t think, feel)」は自分の直感を信じること、「水になれ (Be water)」は形にとらわれず柔軟になれ、という思想です。また、1970年代の前半には映画俳優として大活躍し「ドラゴン危機一髪」「ドラゴン怒りの鉄拳」「燃えよドラゴン」が大ヒットし、アクション映画界にその名を轟かすことになりました。しかし成功の最中である1973年に彼は32歳の若さで急逝しました。彼の死後、映画によって世界的にカンフーブームが起き、彼の影響を受けた人は少なくありません。彼の残した名言の一つにある「不滅の秘訣は、記憶に値する人生を生きること」が表す通り、彼の作品や言葉は後世の人々の心に今なお響き続けています。
<香港の14人に一人が資産2億円以上>
シティバンクの富裕層調査(香港千萬富翁調査報告2025/Hong Kong Affluent Study 2025)によると、香港で資産1,000万香港ドル(今の為替レートで約2億円)を持つ資産家は去年より1.2%増加し39万5000人で、人口の7%を占めることがわかりました。7%は14人に1人にあたります。彼らが最初に100万香港ドル(2千万円)の資産を形成した平均年齢は34歳で、株式投資と投資信託によるものです。海外資産の保有率は23%といわれています。資産の内訳は、流動資産が49%、不動産が51%で、さらに流動資産のうち55%は現金、33%は株、6%は基金、4%はその他、2%は債券という構成です。
今の為替レートの影響もありますが、今や香港の方が日本より年収平均は高くなっています。しかし香港は日本より物価も高く不動産価格も非常も高いので、支出も多いと思われます。また平均値だけを見ても職業による格差が大きいため、中央の値だけで裕福さは判断できないのが実情です。ただ香港は日本と違って資産を築きやすい環境が整っています。香港ならではの資産形成のからくりを見てみましょう。
香港は不動産価格が高く、収入に対して住宅コストの占める割合が大きくなりますが、土地の狭さと交通の便の良さから、社会人になっても親と暮らしている人が多いため、実家にいる限り家賃や生活コストが抑えられます。一般的に独身の時は実家暮らしで支出を抑え、結婚を機に家(マンション)を購入する人が多いです。また不動産を持つことは資産を持つことであり、土地の値段が上がり続ける香港においては投資の一つであり、実際に不動産で資産を築いた人が多くいます。
また、香港は金融商品が充実しています。香港には香港証券取引所があり、香港株はもちろん中国株、米国株、海外の投資信託も購入できます。香港人はお金の話が大好きなので幼い頃から大人たちの株や投資の話を聞いて育ち、金融リテラシーが非常に高いので、老若男女問わず誰もが生活の一部として資産運用をしています。
さらに香港の投資意欲を高める背景には香港の税制があります。香港の給与所得税は最初の500万香港ドルには15%、それを超える分には16%となっており、日本に比べると低い税率に驚かされます。さらに資産の売買によって得られる利息や配当によって得られた儲け(キャピタルゲイン)は、基本的に課税されません。相続税や贈与税もかからないため、裕福な家庭は次の世代も裕福であり続けられます。さらに法人税も16.5%と低税率なので、会社員をしながら起業して個人事業主をしている人も珍しくありません。日常会話の中でビジネスチャンスについて語るくらい、起業家精神が強いのも香港人の特徴です。