香港の所得税申告に関わる手続き

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香港の所得税申告に関わる手続き

3月7日、香港政府は1万香港ドルの電子マネーの給付について発表しました。18歳以上の香港居民を対象とした経済刺激策としての給付金は、2020年度の1万香港ドル、2021年度の5000香港ドルの電子マネーに続き、今回が3回目となります。昨年と同じくOctopusと、We Chat Pay HK、Alipay HK、Tap&Goによる電子マネー支給になるため、前回の登録内容に変更がなければ再登録も不要で、今回はよりスムーズに支給される見込みです。給付は2回に分けられ、4月頃に1回目の5,000香港ドル、今年後半に2回目の5,000香港ドルが支給されます。またこの5000香港ドルも一度に支給されるのではなく、期日までに4000香港ドルを使用すれば残りの1000香港ドルがチャージされるというように、2段階に分けて支給されるため確実に香港内の消費を促す狙いがあります。日本でも昨年末に給付金を支給するにあたって現金か商品券かを巡り議論されましたが、現金給付は貯蓄に回りやすく、商品券は配布に手間と費用がかかるなどのデメリットがあります。香港のOctopusカードのように万能で普及率の高い電子決済方法が日本にもあれば、電子マネー支給という選択肢があったかもしれませんね。

さて、毎年恒例の所得税の申告時期が近づいてきました。香港の所得税は日本と違い、毎月の給与から源泉徴収されていません。そのため日本のように個人事業主や複数の収入源がある人だけに限らず、香港では企業に雇用されている一般の会社員でも個人の所得税は自分で確定申告をして納税します。課税期間は前年4月1日~今年3月31日の1年間です。

所得税の申告には下記4段階のプロセスがありますので、順番に見てみましょう。

1. 雇用主支払報酬報告書の提出

2. 給与所得税申告書の提出

3. 課税通知書の受領

4. 納税

1. 雇用主支払報酬報告書/Employer’s return(form: BIR56A, IR56B)

毎年4月初旬、香港税務局(IRD, Inland Revenue Department)から「雇用主支払報酬報告書/ Employer’s return (BIR56A, IR56B)」が雇用主に送付されます。雇用主が各従業員に支払った給与、賞与、ダブルペイ、コミッション、各種手当などを記載し、報告書の発行日から1か月以内に香港税務局に提出します。電子申請も可能です。IR56Bには従業員への支払額が記載されており、雇用主は税務当局に提出したらそのコピーを各従業員にも渡します。もし申告が必要な従業員がいない場合でも、IB56Bは記入・署名して提出する必要があります。もし期限内に提出するのが困難な場合は、その理由などを添えて税務局に期日の猶予申請もできます。

申告における注意点

・雇用主が、新たに香港での役員や従業員を雇用し、なおかつ給与所得税の課税対象があるとされる場合、雇用を開始してから3ヵ月以内に、その者の氏名、住所、雇用開始日、雇用条件を香港税務局に通知する必要があります。

・退職予定の役員・従業員がいる場合、雇用最終日から起算して1ヵ月前までに、氏名・住所、雇用終了日を香港税務局に通知する必要があります。

・役員・従業員が1ヵ月以上香港から出国を予定している場合、出国予定日から起算し1ヵ月前までに通知する必要があります。またその役員・従業員に所得税の未納がある場合は、香港税務局の発行するレターがない限り、雇用主は通知書の提出から1ヵ月間の給与支払を留保しなければなりません。1か月以上香港を離れる場合でも海外出張の場合は該当しません。

2. 給与所得税申告書/ Tax return (form: BIR60)

毎年5月初旬、個人宛に香港税務局から「給与所得税申告書 (BIR60)」が送付されます。雇用主から受け取ったIR.56Bを参照し、BIR60に記入します。発行日から1か月以内に香港税務局に提出します。電子申請も可能です。

<申告における注意点>

・MPFは課税収入から控除されます。

・日本の親会社から駐在しており、日本で留守宅手当などの給与や諸手当がある場合には、香港に源泉があるとみなされ、香港の課税対象となります。

・不動産を所有しており賃貸収入がある場合には不動産所得を記入します。

・勤務先とは別に香港で個人事業による収入がある場合は事業所得を記入します。

・香港で住宅ローンを組んでおり支払利息があれば、利息は控除対象となります。

3. 課税通知書/Tax Assessment

毎年8月~11月頃、香港税務局から「課税通知書(Tax Assessment)」が送付されます。1の雇用主支払報酬申告書と、2の個人所得税申告書を元に、給与所得税の計算結果と確定税額通知書が送付されます。香港では翌年度の税金も前年実績を基準に算定されますので、香港に来て初めて納税する人は、2年分の税金をまとめて納税する必要があります。或いは香港から帰任する場合は、予定分として納めた翌年度分の税金が戻ってきます。

4. 納税

税金の支払い期限は2回に分かれています。1回目の支払いは1月に全体の75%、2回目は4月に残り25%を支払います。期日を過ぎると5%のペナルティが発生しますのでご注意ください。支払期限から6か月遅延した場合は、元々の納税金額+5%ペナルティの合計に対して10%のペナルティが発生します。忘れず期日前に納税しましょう。