RCEP協定

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RCEP協定

香港の新型コロナウイルスの新規感染者は過去最多を更新し続けており、香港政府は2月28日には初の3万人を超したと発表しました。2月に入ってから香港は新型コロナウイルス感染急拡大に見舞われ、病床が埋まった病院の外には気温が10度を下回る寒空の下で患者を乗せたストレッチャーが並ぶという、かつて見ない厳しい状況が続いています。病院のベッド数が不足しているため、今後は中国本土の協力のもと臨時の医療設備が急ピッチで建設されるということです。

また、新型コロナウイルスの感染が急拡大していることから、3月から香港に住む約740万人すべての市民を対象にPCR検査が行われます。中国からの医療支援チームを受け入れることで1日100万回の検査能力を確保し、検査は1人につき3回実施され3月末までに全数検査を終える計画です。さらに香港内の幼稚園、小中学校の夏休みが7~8月から3~4月に前倒しとなり、学校での感染拡大防止と、校舎をPCR検査の会場に利用するということが決まっています。

香港政府は2月21日、ワクチン接種を基本とした新型コロナウイルス対策「疫苗通行證(Vaccine pass)/ワクチンパス」についての詳細を発表し、早速2月24日から実施されました。適用される場所は、全ての飲食店、美容院、ショッピングモール、デパート、スーパー、街市など、日常生活に欠かせない場所も含まれます。18歳以上は6月までに3回目のワクチンを接種していないとこれらの施設に入れなくなり、事実上ワクチン接種が義務化されるような措置となります。ワクチンパスには適用外もあり、12歳以下の子ども、ワクチン接種を免除されている「豁免証明書」の所有者、飲食店のテイクアウトの購入、配達や集荷目的での立ち入り、他には通勤や通学のために駅直結のショッピングモールを通過する必要がある場合なども適用外となります。

さらに、公共の場所において3人以上の集まりが禁止され、自宅など私的な場所での家族の集まりは2組までとなり、違反者には罰金が科されるため香港の中心部ですら週末は夜8時ともなると車通りも少なく静まり返っています。バスのいくつかの路線も最終便が夜8時に変更されました。

新型コロナウイルス関連以外で最近の注目すべきニュースのひとつに、香港政府がRCEP協定への加盟を申請していたことが明らかになりました。RCEP協定というのはRegional Comprehensive Economic Partnership Agreementの略で、「地域的な包括的経済連携」を意味する協定のことです。RCEPは「アールセップ」と読みます。2020年11月にASEAN加盟の10か国とそのFTAパートナー5か国の間で署名され、これら15か国は世界のGDPの約3割を占めるほどの大型地域協定です。

<ASEAN加盟国>

ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの10か国

<そのFTAパートナー>

オーストラリア、中国、日本、ニュージーランド、韓国の5か国

RCEP協定は関税を撤廃し、自由な貿易を推進することを目的とし、日本にとってはこれが中国と韓国と初めて経済連携協定を締結するものと注目が集まりました。2022年1月1日より日本、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア、中国、ニュージーランドの10か国について発効され、韓国は2月1日より発効され、マレーシアは3月18日より発効予定です。

RCEPとよく似たTPPを比較してみると、どちらも関税撤廃により自由貿易を推進するという協定で基本的なコンセプトは同じです。2017年にアメリカがTPPから離脱を宣言し、話題にもなりましたがRCEPとTPPの大きな違いは加盟国です。RCEPには大国である中国が含まれており、ASEANの10か国が加盟していることから、TPPに対してRCEPはアジアを中心とした貿易協定です。前述の通りRCEPは世界のGDP30%を占めており、TPPは13%ほどでその差は明らかです。

2月21日のオンラインシンポジウムで香港政府工業貿易署の盧世雄署長が、RCEP協定への加盟申請をしていたと明らかにしたことで報道されました。香港とRCEP加盟国の間の貿易額は年間で約9626億米ドル、香港の貿易総額の70%以上を占めています。盧世雄署長は加盟申請した理由として「自由貿易協定のネットワークを日本や韓国に拡大するため」と説明しました。香港にとって最大の貿易相手国は中国で貿易総額の52%、次いでASEANが12%です。香港と中国との間では経済緊密化協定(CEPA)があり、ASEANの10か国やオーストラリアなどとは自由貿易協定(FTA)があります。しかし貿易相手国第5位の韓国と、第6位の日本とは、この2カ国だけで香港の貿易総額の約8%を占めているにもかかわらず、これまで協定がありませんでした。盧世雄署長「RCEP協定への加盟により香港全体の経済発展を促進し、中小企業にもチャンスをもたらすだろう」と述べました。RCEP協定への新規加盟が認められるのは、協定発効から18カ月後とされているため、香港の加盟は早くとも2023年の半ばかそれ以降となりそうです。