香港の伝統祭り

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香港の伝統祭り

今年の佛誕は5月26日でした。仏教とは関係がありませんが、佛誕の時期といえば長州島の伝統行事「長州饅頭節(まんじゅう祭り)」が有名です。祭りの見どころには、子供たちの山車(だし)によるパレード「飄色會景巡遊」、そして深夜の「搶包山比賽(まんじゅう取り大会)」です。白いまんじゅうを9千個ほど貼り付けた高さ約18メートルの塔に参加者が登って、そのまんじゅうを取ります。現在は安全面から参加できるのは予選を通過した者に限られ、まんじゅうもプラスチック製になりました。ルールは簡単で、より高い場所にあるまんじゅうを取るほどポイントが高く、取ったまんじゅうの数ではなく獲得ポイントを競います。このまんじゅうは「平安包」と言い、白いまんじゅうに「平安」と赤い字で書かれています。この祭りの時だけ、無病息災を祈って長州島内の至る所で売られます。そして祭りの会場となる長州島の玉惠寺「北帝廟」には、道教の海の守護神である北帝が奉られていて、人々が絶えず参拝します。

大都会の香港ではほとんどの人が高層マンションに暮らしをしており、地域に密着した伝統行事は担い手が少ないかと思いきや、意外にもお寺の催事などは近隣の住民によって今なお伝統が守られています。香港には年間を通して様々な祭りがあります。

<洪聖生誕祭>

香港には洪聖(洪熙)という実在の人物を奉った寺院があります。唐朝の時代、彼は天文や地理に精通し、漁師や商人を助けたということから厚く崇拝されるようになりました。漁師たちによる洪聖の生誕を祝う洪聖祭はあちこちでありますが、河上郷村、鴨脷洲、大角咀福全街の祭りは特に有名です。

河上郷村は、上水から北西に位置する村です。洪聖古廟の生誕祭には「河上鄉洪聖誕搶炮」という爆竹を用いたイベントが行われます。広場に設置された点火台には1本の爆竹がセットされており、点火されるとロケット花火の如く爆竹が空中に舞い上がります。そして若い男性を中心に住民たちが落下してくる芯を掴み取ろうと揉み合いになります。七回放たれ、掴んだものによってそれぞれ異なる額の賞金、賞品が授与され、縁起をもたらします。

「搶炮」は、他の祭りでも行われていましたが、安全面から香港内で爆竹の使用が禁止されたこともあり、また、どうしても揉み合いになって喧嘩になってしまうことから、現在ではくじ引きや、空気砲で打ち上げるなど形式的なものに変わりました。現在「搶炮」を行っている祭りは、河上鄉洪聖生誕祭の他に3か所ほどしか残っていません。

<天后生誕祭>

「天后廟」は香港内に70以上あります。海に囲まれ漁業が盛んであった香港にとって、天后とは海の女神で、漁師たちの守護聖人とされています。天后の生誕祭には近所の人々が寺院に集まり、海の安全や豊漁を祈願します。特に元朗の天后生誕祭では大規模なパレードが行われますし、大廟灣天后廟は香港最古の天后廟といわれています。

まず元朗にある大樹下天后廟は、寺院の前に大木があることからその名が付けられました。生誕祭のパレード「元朗十八鄉天后寶誕會景巡遊」は1963年から始まり、現在では重要な伝統行事に位置づけられています。パレードに参加する村民と、それを見物する元朗の住民たちで盛り上がり、とても賑やかで香港最大規模の天后生誕祭となっています。パレードは元朗のメインストリートを通るため、当日は通行止めとなり、どこも見物客でいっぱいになるので周囲の学校も休みになります。

そして佛堂門天后古廟(大廟灣天后廟)は、西貢の清水湾より南に位置する、大廟湾の地堂咀という場所にあります。香港の第一級歴史的建造物に指定されており、香港最古の天后廟です。寺院の周囲三面が山に囲まれているため、参拝にはハイキングコースを歩く必要がありますが、寺院を訪れる近隣の村民たちは船やボートを所有しているため海から直接アクセスでき、それほど不便ではありません。そういった場所柄、普段の参拝者は決して多くありませんが、天后生誕祭には3万人もの参拝者が訪れます。その日だけはMTRの各駅から最寄りのバス停まで臨時のバスが絶えず往復します。

<譚公祭>

海の守護神である譚公の生誕祭が毎年旧暦の4月8日に行われます。譚公は実在の人物で、気象予報や病気を治す力があり、漁師から崇拝されるようになりました。香港島の筲箕湾には譚公を奉る「譚公廟」があり、生誕祭には筲箕湾の街一帯がお祭りムードとなります。普段はグルメストリートとしてレストランが立ち並ぶ「東大街」を獅子舞などが賑やかに盛り上げます。

<関帝祭>

旧暦の6月24日は三国志に出てくる中国の武将、関羽の生誕祭があります。道教において関羽は武道の神、忠義と清廉の象徴です。香港島の上環にある「文武廟」をはじめ、関帝を奉っている寺院では毎年儀式が行われ、関帝像には灯りがともされます。

ほとんどのお祭りで欠かせないのが獅子舞、広東オペラ、パレードですが、祭りの後の会場では住民たちが円卓に座り、盆菜を囲んで食事をします。外国人や観光客は、その時ばかりは祭りの中心である地元の人たちを見守りましょう。