2026年香港の新制度・改正案まとめ:喫煙罰則強化、医療費改定、雇用条件緩和など

Uncategorized

2026年香港の新制度・改正案まとめ:喫煙罰則強化、医療費改定、雇用条件緩和など

様々な出来事があった2025年もあとわずか、新たに2026年の始まりです。この11月から12月にかけての気温は、例年に比べ平年並みか平年を上回っていますが、天気予報によると2026年元旦から寒波がやってきて市内の最低気温は10度近くまで下がるとのこと、気温の変化で体調を崩さないよう、暖かくして新年をお迎えください。

さて2026年1月から、香港では各種制度の改正などが予定されています。

<喫煙に関する新たな条例、罰金HKD3,000へ引き上げ>

まず、2026年1月1日より喫煙に関する新たな条例が施行されます。公共の場所での禁煙に違反した場合、従来の罰金HKD1,500がHKD3,000に増額されます。禁煙エリアも拡大され、保育施設や学校、高齢者等の介護施設、病院や診療所などの出入口付近3メートル以内は禁煙エリアとなります。また、タクシースタンド、バス停等の公共交通機関の乗車待ちで列に並んでいる時の喫煙も違法となります。香港のタバコ事情はこれまでも厳しく、すでに2022年4月から電子タバコや加熱式タバコ等、代替喫煙製品の輸入・販売・使用が禁止されています。今後2027年にはメンソール以外のフレーバー付きタバコの販売禁止、違反の場合は罰金最高HKD50,000に加え禁錮6か月となる予定です。

<公立病院の医療費引上げ>

同じく2026年1月1日より、香港の公立病院の医療費が大幅に改定されます。

・救急外来:香港ID保持者HKD180→HKD400、香港ID非保持者HKD2,100

 ただし心肺停止や脳卒中など緊急性が高く重篤な患者は免除。

 骨折、風邪など緊急性が高くない場合に適用される。

・一般外来: HKD50→HKD150

・薬剤費:HKD5/種類(4週間分まで)

背景には香港の人口高齢化による需要増があり、政府の財政負担の軽減を目的としています。しかし今回の新制度による低所得者の経済的負担を緩和するため、医療費減免制度が拡大され、公立病院の医療費用に上限として一人当たり年間HKD10,000が設定されました。上限を超えた患者はアプリ「HA Go」で申請を行うことで、上限以上の支払いが免除されます。

<雇用条例の改定>

続いて2026年1月18日より、雇用条例の改正で「連続性雇用契約」の適用条件が緩和されます。週の勤務時間が18時間以上から17時間以上へ引き下げられ、また週17時間以下であっても直近3週間で合計68時間勤務であれば継続雇用と見なされます。これにより非正規雇用者やパートタイム労働者の福利厚生の適用対象が拡大され、有給休暇、病気休暇、法定休暇などの取得がしやすくなります。労働時間の計算方法が柔軟になることで、従業員が連続性雇用契約の要件を満たしやすくなり、労働市場の公平性を高めることになります。

<児童虐待の報告義務制度>

そして2026年1月20日より、児童虐待の報告義務制度が発効します。これまで香港では児童虐待について「職務上の配慮義務」が議論されていたものの、法的な報告義務がありませんでした。法律では教育、福祉、医療など25種類の専門職が「指定専門職」として義務付けられ、虐待が疑われた場合や危険を発見したらできるだけ早く報告する義務が課されます。違反した場合HKD50,000の罰金、最高3か月の懲役で、報告者の身元を故意に漏らすことも違法にあたります。また報告した者が責任追及の対象とならないよう法律で守られています。

<タクシーの電子決済導入の義務化>

2026年4月1日から全てのタクシーに最低2種類以上の電子決済手段の導入が義務化されます。電子決済の種類は下記を組み合わせ、香港市民や観光客の利便性を高める狙いがあります。

・QRコード決済:Alipay HK、WeChatPay HK、BoCPay等

・非QRコード決済:オクトパス、クレジットカード、FPS等

その他ドライブレコーダー、車載カメラ、GPS搭載も義務化されます。これから4月1日に向け徐々に対応が進んでいくため、タクシー利用の際には現金やオクトパスが使えるかなど、対応している決済方法を乗車前に確認しておくと安心です。

<シニア割引制度に変更>

香港では60歳以上の高齢者や障がい者を対象とする運賃割引制度(公共交通機関を一律HKD2で利用できる制度)があり、多くのシニア層に喜ばれています。高齢化に伴う公費負担の軽減を目的とし、この制度を今後も継続していくため改定が発表されています。具体的には、

・運賃がHKD10を超える区間については割引後運賃の80%を割引(20%自己負担)

・1か月の乗車回数を最大240回までに制限

その他、高齢者の社会保障の越境支給も検討されており、2026年中期ごろから中国本土で香港の高齢者が社会保障の給付金を受けられる仕組みができる見込みです。これにより老後を中国本土で居住する人や、香港と二拠点居住をしている人にとってメリットがあります。長寿である香港では、高齢者向けの優遇制度が多く、テーマパークなど観光レジャー施設、映画館のシニア割引、香港国際空港のシニア優先のサービスなどがあります。高齢者向けの健康や介護業界の市場成長も顕著で、老後は低コストで広々とした中国本土の老人ホーム利用など多岐にわたる選択肢があり、高齢者が快適な老後が過ごせるよう、今後も環境整備が進められていくでしょう。