謹賀新年

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謹賀新年

2020年明けましておめでとうございます。
昨年は格別のお引立てを賜り厚く御礼申し上げます。
本年も、より一層のご支援を賜りますよう、従業員一同心よりお願い申し上げます。

さて、本年よりこちらのニュースのページにてブログを掲載させて頂きます。
知っておきたい香港のルール、生活、お店や情報など、多岐にわたってご紹介していけたらと思います。

まず第一弾は香港の経営者が知っておきたい、

<旧正月前のダブルペイ>

日本では新たな一年が始まったばかりですが、旧正月を祝う香港でお正月の本番はこれからです。中国大陸、香港、台湾、韓国、ベトナムなど主に中国からの影響を受けているアジアの国では、旧正月を盛大にお祝いします。今年の干支の庚子(かのえ・ね)も、香港では旧正月を迎えてから新しい干支に変わります。

もちろん香港でも新暦の元旦(1月1日)は祝日でお休みとなりますが、2日からは街も職場も通常通りの平日なので、在住日本人にとっては少し物足りない気持ちになるかもしれませんね。香港では新暦の元旦を過ぎてから徐々に「年末」の雰囲気に突入します。今年の香港の旧正月は1月25日(土)から28日(火)で、土日を挟んで4日間が連休となっています。香港は1月に入ってから旧正月に向けお正月ムードが高まっていきます。

さて、年末の香港には「ダブルペイ」という慣習があります。企業が旧正月前に1ヶ月分の給与を従業員に支払うという古くからの慣習です。多くの場合、企業は旧正月に入る前月の給与と合わせて同時に支払うことが多いのでダブルペイと呼ばれています。日本でも年末には冬のボーナスがありますが、ボーナスは会社や個人の業績によって額が変動します。ダブルペイは業績に関係なく、各従業員の1か月分の給与が支払われます。ダブルペイは旧正月を祝う華僑たちの慣習であり、法律的には企業に強制されているものではありません。そのため各企業によって方針が違うため、通常は雇用契約書にダブルペイの有無が記載されます。

香港における最近の傾向では、ダブルペイが無くボーナス制度を採用している企業が増えました。ダブルペイなのか、ボーナスなのか、或いはその両方の制度があるのか、誤解の無いよう企業と従業員の間で明確にしておくと、後々余計なトラブルにならずに済みます。ボーナス制度を採用しているにもかかわらず、毎年同じ額を従業員それぞれに支給している場合は、従業員がダブルペイのように受け止めていることがあり、誤解を与えてしまうケースが少なくありません。ボーナスは本来、業績や個人のパフォーマンスによって算出されるものなので、年度や個人によって額に変動がある方が自然です。

そんなダブルペイの使い道ですが、香港人なら大半の人は所得税の納税のために残しておくという傾向があります。日本であれば所得税は毎月の給与から天引きされますが、香港では天引きされません。年に一度、確定申告のように各個人で年収から算出した所得税を申告します。その後に最終決定した納税額が税務局から通知され期限までに納税するのですが、その時にまとまった貯蓄が無いと困るため、ダブルペイの分から残しておくというわけです。そのほか、香港の特殊な住環境から香港人は両親と同居している人が多くいます。社会人になって働きに出ると、平均的に給与の3分の1ほどを生活費として家に入れ、ダブルペイで受け取った分も同様に両親に渡す人が少なくありません。

また、ダブルペイが支払われる年末には求人数がぐっと減る傾向にあります。従業員の心理として、仮に離職を考えているとしてもダブルペイをもらってから動こうとするため、旧正月前には求人数が激減します。旧正月明けから転職活動を始める人が増えるため、ポジションが空き求人数が増えていきます。求人側も求職側も、旧正月明けから動くと選択肢が豊富で新しい人材・新しいポジションを見つけやすくなります。

さらに、旧正月期間といえば忘れてはならないことがもう一つ、中国大陸の工場では従業員たちの帰省に伴い人材確保が難しくなる時期となります。工場では、地方出身の従業員が旧正月の長期休暇を利用して田舎へ帰省し、休み明けにそのまま戻ってこないケースが多々あります。若い従業員たちが久々の長期休暇で実家に帰って両親と一緒にいるうちに、里心がついてしまうようです。日本でも年末年始や年度末など、節目のタイミングに退職をする傾向はありますが、本人が戻って来ないまま退職されてしまうと会社側は困ってしまいますよね。

従業員が戻って来ないで退職した場合は新しい従業員を補充することになりますが、また一から教育しなければならないので工場の生産性は一時的に落ち込み、不良率も高くなる傾向があります。また退職せずとも、大型連休は人口の大移動となるため、Uターンラッシュに巻き込まれた従業員たちの戻って来るタイミングはバラバラで、やはり一時的に人手不足となります。物流も滞るため、企業は旧正月前に余分な在庫を持つなど事前に対策をする必要があります。日本の年末年始と同様、旧正月期間はもちろん工場は動かないのですが、旧正月が終わってからもその後しばらくは通常の状態には戻らないので事前の計画が大切です。是非、万全の準備をして良い旧正月をお迎えください。