飲食店開業に必要なライセンス

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飲食店開業に必要なライセンス

12月27日、新界北西部に位置する屯門と香港国際空港を結ぶ海底トンネルが開通しました。空港と香港市内の陸路によるアクセスは、これまで青馬大橋を通過するルートしかなく、屯門エリアと空港は目と鼻の先に位置しているにもかかわらず、海を隔てているため片道約30分もかかっていました。新たに開通した海底トンネルを利用すると、わずか10分ほどでアクセスできるようになりました。

さて、依然として終息の気配が見られない新型コロナウイルス第4波ですが、香港政府によると12月25日から、香港入境21日前に中国本土、マカオ、台湾以外の外国・地域に滞在歴のある香港居民は、政府指定ホテルで21日間の強制隔離が必要となりました。強制検疫はこれまで14日間でしたが、7日間延長されたことになります。さらに強制検疫の終了は入境後21日目ではなく、検査結果が陰性と確定するまでとなり、陽性であれば即入院となります。

気になるワクチンについては、復星医薬(上海)とバイオンテック(ドイツ)が共同開発したもの、科興控股(香港)、アストラゼネカ(イギリス)から合計で2250万本のワクチンを確保したと香港政府より発表されました。接種を受ける場所や、ワクチンの製造元は、接種を受ける前に自分で選べるということです。

さて、日本と香港の往来がままならなくなり1年が経とうとしていますが、コロナにも負けず今年も日本のショップや飲食店が香港に進出を果たしました。激安の殿堂・ドン・キホーテは2019年に1号店が出店してから瞬く間に店舗数を増やし、12月18日にはビクトリアピークに6号店を出店しました。同じく昨年から上陸したスシローも着実に店舗数を増やし、香港市民の生活に早くも溶け込んでいます。香港で日本食の人気は高く、日本の企業にとっても香港は大きな市場です。

香港で飲食店を開業する場合、「レストランライセンス」という営業許可が必要で、下記のように飲食店の規模や扱う食品によってライセンスが異なります。

  • 普通レストランライセンス(General Restaurant Licence)

一般的なレストランの営業を行えるライセンスです。食物環境衛生署衛生署、屋宇署、消防署が管轄となっています。ほとんどの食品を扱えますが、刺身や寿司などの生魚や酒類を提供する場合は別のライセンスも必要です。

  • 軽食レストランライセンス(Light Refreshment Licence)

軽食や飲み物を提供する店舗のライセンスです。コーヒーショップ、お粥専門店、麺専門店などがあり、普通レストランライセンスに比べ提供できるメニューに制限があります。

  • 総合食物店ライセンス(Composite Food Shop Licence)

レストランライセンスに付属するライセンスで、寿司、刺身などを調理・販売する際に必要なライセンスです。業界では刺身ライセンスとも呼ばれています。

  • リカーライセンス(Liquor Licence)

香港の飲食店でお酒を提供する場合、レストランライセンスとは別にリカーライセンスの取得が必要となります。

その他にも様々なライセンスがあります。

  • ベーカリーライセンス(Bakery Licence)パン屋など
  • 工場内食堂ライセンス(Factory Canteen Licence)工業ビル内の従業員向け食堂など

特にレストランでお酒を取り扱う場合に必要となるリカーライセンス(Liquor Licence)について少し説明したいと思います。

<リカーライセンスとは>

香港の飲食店でお酒を提供する場合、レストランライセンスと別にリカーライセンスの取得が必要となります。リカーライセンスの申請は、レストランライセンス(普通・軽食のいずれか)の暫定ライセンスを申請後、香港ID保持者により申請が可能となり、通常は約3ヶ月程度で取得できます。リカーライセンス局(酒牌局)、警察署、民生事務署の管轄となり、それぞれの役割は以下の通りとなっています。

・リカーライセンス局(酒牌局):ライセンス発行担当。申請書類の審査、許可などを行う。

・警察署:公共の場で迷惑行為が起こらないよう監督できるか等の判断。

・民政事務署:レストラン周辺の住民や施設などから意見を募る。

<リカーライセンス申請プロセス>

リカーライセンスは、申請から取得まで3ヶ月程度を要します。通常はレストラン開店から約1ヵ月後にリカーライセンスが交付されます。申請者資格は、18歳以上の香港ID所持者で、入れ替わりの可能性が低い店長クラスの従業員や、取締役となります。リカーライセンス局へ申請書類を提出した後は、警察署の担当員によりライセンス申請者として適任であるかを面談で判断されます。その後、リカーライセンスを申請した旨を店舗の前と新聞に公告し、近隣の住民や施設などからの反対意見を募ります。もし反対意見が出て、リカーライセンス局がそれらを正当と認めた場合は、提供時間や客数などが制限される場合もあります。出店予定の場所の周辺にある飲食店が酒類を提供しているようであれば、一般的にそれほど心配する必要はないでしょう。ライセンス取得後も警察により不定期に視察があるため、ライセンス所有者は店舗に常駐する必要があります。