香港と日本の往来にようやく明るい動きがありました。日本国内でのワクチン普及と新規感染者の減少から、日本政府は11月8日から入国規制の緩和を始めました。これにより香港から日本への渡航は、ワクチンを接種してから14日間経過しており、他の条件を満たしていれば隔離期間を最短で3日に短縮されることになります。まず現時点で対象となるのはビジネス目的の香港に住む日本人と香港人に限られます。ワクチン接種証明書を提出し、入国3日目以降にPCR検査を受け陰性が確認されれば、4日目以降は隔離が不要となります。対象となるワクチンは3種類あり、香港ではComirnaty(復必泰)の接種者が該当します。注意したいのは4日目以降に自由に国内を移動して活動できるというわけではなく、日本側の受け入れ責任者(企業や団体)の管理のもと、あらかじめ申請した活動計画書に沿ってのみ活動できるというものです。香港で起業された自営業の方など特に日本側に受け入れ企業がない場合、たとえビジネス目的であっても今回の隔離短縮の対象とはなりません。またこの他に新規入国の留学生や技能実習生など長期滞在者の入国も認められるようになりましたが、この場合は14日間の待機が求められます。もともと来日予定で待機していた場合、在留資格認定証明書の写しを提出する必要があります。また全ての入国者は何らかの医療保険に加入している必要があります。さらに、日本への一時帰国を目的とした里帰りの場合は今回の緩和対象にはならないため、最短10日間の隔離が求められます。まだまだ一般の観光客が入国して自由に観光するには至りませんが、今後の措置が段階的に進めば、香港から日本へ観光客の入国再開も期待できそうですね。
さて、長らく観光客を受け入れていないにもかかわらず、香港では絶えず新たなスポットが生まれています。西九龍文化地区にアジア最大級のヴィジュアル・カルチャー美術館「M+」(エムプラス)が、11月12日にグランドオープンを迎えました。設計はスイスの有名な建築事務所「ヘルツォーク&ド・ムーロンとTFPファレルズが共同で行い、20世紀から21世紀にかけて制作された映像文化、デザイン、建築、などをメインに収集、展示されています。さらに1年間は入場料が無料となります。グランドオープンを記念して開催されるのは、1960年代から現代までの香港の文化的変化を捉えた「The Hong Kong: Here and Beyond」展など6つの展覧会で、その他の各ギャラリーでは建築、デザイン、戦後アート、コンセプチュアルアートなどをテーマにした展示が行われます。埋め立て地である西九龍は、西九龍文化地区として近年アートやカルチャーに焦点を絞った新スポットとしての活用が進められています。香港のウォーターハーバーが見渡せる絶好の立地で、広大な緑地にレストランやカフェ、プロムナードに続く遊歩道があり市民の憩いの場となっていおり、ここに現在建設中の故宮博物館は、来年7月に開館する見込みと報じられています。
さらに香港で、近年稀にみるブームとなっている男性アイドルグループ「MIRROR」をご存じでしょうか。国際色豊かな香港では、これまで当たり前のように日本や韓国の芸能人が知られており、インターネットが普及する前から香港には日本の芸能人やアイドルのファンがいました。ここ数年は韓国のアイドルが人気で、韓国のドラマやバラエティ番組が好まれています。そういった中、地元香港のアイドルグループが空前のブームを巻き起こしています。「MIRROR」は2018年にテレビのオーディション番組で選ばれ、デビューした途端に一躍トップアイドルとなりました。香港では地元のアイドルグループがこれほどまで人気が出ることはこの20年ほどなく、100社を超える多くの企業が広告に起用するなど、その人気はもはや社会現象ともなっています。香港映画・音楽の黄金期と言われる1980年代~1990年代をピークに、近年冷え込んでいた香港の芸能界で、彼らが3年も活躍してこれたことは彼らの努力なしには語れず、若年層の香港人にとって大きな励ましにもなっていると言います。
また、秋の風物詩である香港政府観光局主催の「香港ワイン&ダインフェスティバル」は、2年振りの開催となり11月1日~31日の1か月間行われています。今年は通常のリアルイベントに加えオンラインイベントも開催されるハイブリッド形式です。密を避けるためレストランは、中環、堅尼地城、湾仔、尖沙咀の4カ所が会場となっています。支払いはトークンで、250香港ドル(5トークン)か500香港ドル(10トークン)分をClityline.comで購入して利用し、ワインのテイスティングにはQRコードを利用します。「食の新たな展望のショールーム」として、革新的に向上した中華料理の紹介や、オンライン・マスタークラスなどのイベントが用意されています。
尖東エリアのクリスマスイルミネーションも11月11日夕方から点灯し、12月に向けてクリスマスムードが高まってきました。いよいよ一年で最も香港の街が彩られる季節がやってきます。