香港:前向きな規制緩和と、各種罰金の引き上げ

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香港:前向きな規制緩和と、各種罰金の引き上げ

香港では現在でも1日1万人を上回る新型コロナウイルスの感染者が確認されており、感染者数の増減は高止まりとなっていますが、香港も中国本土の水際対策の緩和に合わせ各種制限の緩和を進めています。

香港政府は12月13日の記者会見で、12月14日より入境後3日間の行動制限を撤廃する方針を発表しました。14日より行動記録アプリ「安心出行/Leave Home Safe」の使用義務を撤廃し、海外や中国本土からの入境者に課せられていた入境後3日間の行動制限が廃止となります。そして一部の施設を除いて、飲食店は香港入境後すぐに利用が可能となります。

しかし、上記アプリでのQRコードスキャン義務がなくなったものの、ワクチンパスについては継続され、適応される場所へ入場するにはワクチンの接種証明を提示することが必要です。方法としては、下記が挙げられます。

  • eHealth/醫健通アプリ
  • iAM Smart/智方便アプリ
  • ワクチン接種レコードQRコードのスクリーンショット
  • ワクチン接種証明書原本

中国本土の規制緩和にも触れますと、12月7日に10項目の緩和措置を発表しました。これら10項目には高リスクエリアの指定を最小単位とすること、PCR検査の対象範囲の縮小や、検査の頻度を減らすことなどが含まれています。

中国政府は12日夜より全国的な行動追跡アプリの運用も終了しました。各地で厳しい行動制限に対する抗議デモが相次いだこともあり、政府としても大幅な規制緩和へ舵を切っています。省から省への移動も緩和され、アプリの必要性がなくなったことから今回の廃止に至りました。国としてのアプリは終了となりますが、自治体による行動追跡アプリは引き続き有効となっています。

また、海外からの航空機の乗り入れはいまだ少ないものの、水際対策も緩和が進められています。現在は海外から中国へ入境後、指定ホテルにて5日間の隔離+自宅などで3日間の計8日間の隔離が義務付けられています。成都市では空港から入国した際の隔離期間を実質5日間に短縮しており、天津市では入国後の自宅隔離措置が撤廃されて行動制限がなくなったようです。今後は北京や上海など全国にも同様の緩和が広がると見られています。

また、マカオでも中国の政策緩和を受け防疫措置の緩和は進められています。感染者は自宅において5日間の療養が可能となるため、医療機関の負担が大幅に軽減されます。また、自宅療養者が「感染証明書」の取得のため医療機関へ押し寄せることも見越して、今後はオンラインでの証明書発行も開始すると発表されました。

香港の水際対策の緩和が進むにつれ、旅行や帰省で香港と日本を往来する人も徐々に増えてきました。香港を拠点とする新たなLCCの「グレーターベイ航空/大灣區航空」が来年2023年1月12日より成田~香港間を1日1便、週7便の運行を開始します。そして2023年前半には関空~香港間も新たに開設する計画があるとのことで、今後は日本の他の主要都市への路線も運航申請を行っているようです。グレーターベイ航空は2020年に東海航空のオーナーが設立した新たな航空会社で、2022年7月に香港~バンコク路線から運行を開始、12月には台北、そして来月の成田が3番目の就航都市となります。利用者には新たな選択肢が増えることになりました。

さて、ここ最近の香港で取り上げられたニュースの中で「罰金」の見直しがあります。

香港では街中で見かける注意書き、例えばMTRの駅構内で見かける「禁煙」「飲食禁止」などのステッカーには必ず「罰金○○」と具体的な金額が書いてあります。実際に駅構内で喫煙をする人はほぼ見かけませんが、うっかり改札の中に入った後でペットボトルの水を飲んでしまい、たまたま近くにいたMTRの職員に声を掛けられる程度のことはあり得ます。故意の常習者でなければ即座に罰金を求められるようなことはないようですが、やはり罰金金額の明示というものはルールを守らせるための抑止力になっていると感じます。 さらに香港ではレストランや商業施設など屋内での喫煙が禁止されており、屋外の喫煙が禁止されていない場所に限り喫煙が可能です。当然こういった吸い殻などのゴミをポイ捨てすることは禁じられており、違反者には罰金が科せられることになっています。

立法会の食品安全・環境衛生事務委員会の13日の会議において、ゴミのポイ捨てに対して3,000香港ドル、店舗前の違法拡張行為に対して6,000香港ドルへ罰金を引き上げることが審議されました。ポイ捨ては法律ができる以前に比べて少なくなったものの、今も街中の清掃員がそのほとんどを片付けている状況です。店舗前の違法拡張行為などは、現状の罰金額では罰金を払うことを前提に違法行為を続けている店舗まであり、罰金が負担となるどころか経費と見なされている側面もあるということで、罰金額の引き上げが提案されました。今後は街中での許可を得ていない張り紙や、糞尿・公衆の場での痰吐き、海上への廃棄物投棄等に対する罰金も同じように一律3000ドルに引き上げられる見通しとのことです。施行時期は来年半ばを目途としています。

また、香港法人を2年以上放置していると、香港政府より罰金通知が届くことがあります。
罰金の理由として「年次報告書(NAR1)の未提出」「商業登記証(BR)の未払い」「法人税の未申告」などが挙げられます。もし香港法人に罰金通知が届いたら、すぐに対応しましょう。