香港の冬の過ごし方

Uncategorized

香港の冬の過ごし方

冬でも温暖な香港ですが、さすがに20度を下回ると肌寒く、10度近くまで下がると耐え忍ぶのが非常に辛くなります。12月22日は冬至でしたが、市内の気温が8.6度を記録し、近年稀に見る寒い冬至となりました。広東省では雪が見られた場所もあったようです。

冬の日本の方が寒いとはいえ、日本は暖房に頼っているため室内では快適に過ごすことができます。10度近くになっても暖房なしで過ごすとなれば日本より香港の環境の方が体感温度は寒くなります。香港にも暖房がないわけではありませんが、一般的に香港人は暖房を好みません。一日中、高層ビルやマンションなどコンクリートに囲まれ生活しているため、香港人は窓を閉め切ることを嫌がりますし、年中エアコンをつけて空気が流れていることを快適と感じます。そのため窓を閉め切って暖房をつけるなどもってのほか、サウナの中にいるように息苦しく感じてしまいます。このような状態を広東語で「焗(ゴッ)」と表現します。香港人は寒い日にもエアコンをつけ、窓を開けて過ごし、室内でも外にいるような厚手のジャケットを着て寒さをしのぎます。

寒い時、身体を中から温めるというのも香港人ならではの考え方です。夏でも冷たいものを飲むと体が冷えるので常温の飲料を飲むのはもはや当たり前ですが、冬には尚さら温かいもの、身体を温める物を好んで食べます。冬の香港で食べる定番の料理を挙げてみましょう。

火鍋:大人数で鍋を囲むのは香港も同じ、最近は火鍋も年中食べられるようになりましたが、やはり夏に食べるより冬の方が、身体が芯から温まりそうです。香港の火鍋はスープも具材もバリエーション豊富です。

蛇料理:蛇も年中食べられますが、冬の蛇は特に脂が乗っており、身体を温めてくれます。香港内にある蛇料理の専門店では蛇のスープ「蛇羹」が食べられます。蛇といってもまるごと1匹が原型のままスープに入っているわけではなく、とろみの付いたスープに、細かく切った他の具材と千切りにした蛇の肉が入っているので、それほど抵抗なく食べられます。蛇肉の食感や味は鶏肉に近いです。

煲仔飯:土鍋の炊き込みご飯です。店先にコンロや七輪を並べた専門店が各地にあり、冬になると繁盛します。オーダーが入ってから炊き上げるので、待ち時間はかかりますが、炊き立てでアツアツの土鍋ご飯は絶品です。

焼き芋、焼き栗:冬になると道端に石焼き芋屋さん、石焼き栗屋さんが現れます。近代的な都市に不釣り合いの移動式屋台ですが、どこかノスタルジーを感じてしまう、冬の香港には欠かせない風景です。

臘味:香港でよく見られる塩漬けの保存肉です。ソーセージやサラミのような長細い肉が吊ってあるのをレストランのガラス張りの厨房や、市場などで見かけたことがあるかもしれませんね。秋~冬の乾燥した季節に美味しくなるとされています。様々な種類があり、香港の料理に使われていることもあるので、知らない間に食べている人も多いでしょう。飲茶で定番のちまき「糯米鶏」、大根餅の「蘿蔔糕」、蒸しパンで巻いた「臘腸卷」、炒飯などに、細かく切ったものが使われています。

せっかくなので「臘味」について少し詳しく紹介しましょう。

かつて冷蔵庫が無かった時代、人類は様々な方法で食べ物の長期保存を試みてきました。「臘」というのは塩漬けの技術で、中国の古書「易経」にすでに登場しており、2000年前からその保存技術があったとされます。「臘味」は中国全土にあり、地域によって様々な食材と異なる方法で製造されています。一般的なのは「臘味(ソーセージ風のもの)」「臘鴨(アヒル肉)」「臘鶏(鶏肉)」、また魚を使った「臘魚」もあります。香港で一般的なのは「広東臘味」という製法で、甘味があるのが特徴です。油、塩、醤油、砂糖、酒などに漬けて製造します。外で食べる場合は香港内に「臘味」の専門店がありますので、気軽にレストランで味わうこともできます。

以下は「広東臘味」を代表するものです。

「臘腸」は、豚肉の脂身と赤身と調味料を混ぜ合わせたものをソーセージのごとく豚や羊の小腸に流し込み、乾燥させたものです。鮮やかな赤色をしています。

「膶腸」も同じくソーセージの形をしていますが、肉にレバーを加えています。昔は豚レバーでしたが、現在は鴨レバーが主流です。 広東語ではレバーのことを「肝」ではなく「膶」と言うことがありますが、これは「肝」の発音が「乾」と似ているためです。「膶」は「潤」と同じ発音になり、乾くより潤う方が、運気が上がりそうなのでレバーのことを「膶」と言います。こちらは黒っぽくずっしりしています。

「臘肉」は、漬け込んだ豚バラ肉を自然乾燥やオーブンで乾燥させたものです。製造方法がシンプルなので自宅で作る人もいるくらいです。スライスして野菜と炒める調理方法に向いています。

「臘鴨」は、アヒルの内臓を洗い、塩で漬け込んだものです。非常に傷みやすいため、製造時には塩を大量に使っています。そのまま食べるには塩辛いので、通常は調理前に熱湯などで塩抜きをします。

香港の短い冬には是非、冬の定番料理を食べて身体を温めましょう。