トラム料金の値上げ
香港島の2階建てトラム(通称:叮叮/Ding Ding)の運賃が5月12日より改定されました。成人(12歳以上)は3.00ドルから3.30ドルに、子ども(3〜11歳)は1.50ドルから1.60ドルに、高齢者(65歳以上)は1.30香港ドルから1.50香港ドルへ値上げとなります。香港の2階建てトラムは、世界でも珍しい今なお現役で運行されている2階建ての路面電車で、1904年から(2階建て車両は1912年から)運行が開始されました。そのレトロな車体と主要エリアを簡単に移動できることから観光客にも人気があります。2階席最前列からの景色は抜群で、昼夜違った香港の景色を間近に感じながら街をすり抜ける迫力は圧巻です。運行時間は早朝5時頃~深夜0時頃までと長く、また市民の足としての役割も大きく長年人々に愛されています。
ドラゴンボートフェスティバル
5月31日(土)は端午節です。端午節は中国発祥の伝統行事で、無病息災を願って粽を食べる習慣があります。特に香港では龍船節とも言い、ドラゴンボートフェスティバルが行われます。現在では公式スポーツとなったドラゴンボートレースは、1976年に香港で第1回国際ドラゴンボートレースが開催されて以来続いており、香港チームはもちろん海外から多くのチームが参加します。華やかに装飾されたドラゴンボートは船の舳先(へさき)に龍の頭、船尾に龍の尻尾がついていて、太鼓のリズムに合わせ数人でボートを漕ぐ団体競技です。その様子は勇ましくエネルギッシュで初夏の風物詩です。2025年のドラゴンボートレースは6月7日(土)~8日(日)の2日間で、ビクトリアハーバー・尖沙咀のイーストプロムナード沖で行われます。それに合わせて5月31日(土)~6月8日(日)はドラゴンボートフェスティバルの期間で、周辺ではドラゴンボートレースをテーマにしたグッズやフードの販売、写真撮影スポットが設置されます。ドラゴンボートフェスティバルは伝統行事でありながら、スポーツ観戦のような熱気とお祭りの雰囲気が味わえるので多くの観戦者や観光客で賑わいます。
法定最低賃金の引き上げ
香港の法定最低賃金(Statutory Minimum Wage, 略称SMW)が5.25%引き上げられました。これまでの時給40香港ドルから42.1香港ドルへ2.1香港ドル増額になりました。香港では、2011年に時給28香港ドルの最低賃金が導入されて以来、2年ごとに見直しが行われてきましたが、今後は年間見直し制度が導入され1年ごとに見直しが行われます。また時給制以外の方法で給与額が計算されている場合は、時給ベースで換算した賃金が最低賃金を下回ってはならず、月額記録免除基準である月間給与額が17,200香港ドルを下回る従業員に対して、雇用主に勤務時間の記録と保管が義務付けられています。日本の最低賃金は全国平均1,055円(厚生労働省2024年10月改定)で、地域差も大きく一概には比較できませんが、物価高の香港において最低賃金42.1香港ドルはまだ低すぎるとの声もあります。香港の全ての職業で男女合わせた平均月給は18,862香港ドル(香港政府統計2025年3月公表)です。
紅磡(Hung Hom)エリアの再開発計画
香港の立法会発展事務委員会は4月29日、紅磡(Hung Hom)駅周辺、南側にある海沿いエリア一帯の再開発について協議を行いました。その計画によると高さ230mの高層ビルを建設し、そこに展望台・ジップライン・空中散歩などのアトラクションを付設、他にはショッピングモール、ホテル、マンション、ヨットの停泊施設の建設が盛り込まれました。紅磡駅はMTR東鐵線(East Rail Line)で深センと繋がっている交通ハブ駅です。近年は屯馬線(Tuen Ma Line)が開通して乗り換えが可能となり、九龍西エリアともアクセスが良くなりました。
海沿いの開発予定としては、
・尖沙咀東~紅磡南部までの現在の歩行者用道路を全長180メートルの「水」をテーマにしたプロムナードにリニューアル
・そこに200隻分の停泊施設や水上レクリエーション施設を建設
・桟橋の跡地を利用し、2026年の第1四半期オープン予定で何らかの施設を建設
これら全てがスムーズに進めば2035年に完成するとしています。
紅磡駅~香港体育館(Hong Kong Coliseum)周辺の開発予定は、
・海底隧道(Cross Harbor Tunnel)の出入り口手前にあるバス停に、上部を覆う形の建築物を建設、エアコン完備の待合室を設置
・その建物上部には連絡通路、ショッピングエリア、タクシー乗り場を設置
・紅磡駅の北側と東側に公共のオープンスペース、憩いの場を設置
・紅磡駅~尖沙咀東の間の歩道橋は天井をガラス張りにリニューアルし、拡幅する
・香港理工大学(The Hong Kong Polytechnic University)~紅磡駅を結ぶ歩道橋を拡幅
これらは2037年までの完成を目指すとのことです。
紅磡は尖沙咀からほど近い距離にありながら市内の喧騒から少し離れており、地元住民の生活感があふれるエリアです。ビクトリアハーバーに面している海沿いは散歩に適していて花火も良く見えます。紅磡エリアは昔から日本人も多く住んでおり、香港理工大学や学生寮がある学生の街でもあります。再開発によって紅磡エリアがより便利に魅力的に生まれ変わることが期待されます。
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