日系健康食品の進出

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日系健康食品の進出

もともと健康への関心が高い香港ですが、高齢化社会に伴い近年は予防医療、免疫力向上への意識が高まり、健康補助食品市場が大きな成長を見せています。

香港は、中医と西医が共存する独特の文化があります。漢方医療(中医)では高級漢方食材であるツバメの巣、冬虫夏草、高麗人参などの専門店があり、スーパーで買える漢方食材は家庭料理に取り入れられます。漢方ドリンクは街中にある専門店(涼茶スタンド)の店先で飲むものでしたが、近年はペットボトル入りが自動販売機で買えるなど時代が変わっても身近な存在です。西洋医療(西医)では、香港内には至る所にサプリメント専門店があり、オメガ-3、ルテインなど海外スタンダードの各種サプリからNMN製品など話題の新成分まで様々な商品が手に入ります。またヴィーガン、グルテンフリー、ケトジェニック対応の料理を提供するレストランもあり、健康に対する意識の高まりと、健康的な選択肢が日常生活の一部になっていることが伺えます。

日本ではコロナ禍以降のインバウンド回復で、訪日香港人やアジア人が日本で購入する商品の傾向から、海外で需要のある商品が明確になり、それが新たな販路開拓の可能性に繋がっています。初めて海外に進出する場合、香港からスタートすることは中国本土やアジア進出の足がかかりになります。中国本土からの観光客が多い香港では、売れ行きを見て中国本土向け製品の可能性を探ることもできます。最近新しく香港に上陸した健康を意識した食品、健康補助食品を見てみましょう。

<Cycle.me(サイクルミー)>

ウェルビーイングブランドのCycle.meが香港の一田(YATA)とパートナーシップを組み、香港での製品販売を今年3月より開始しました。 Cycle.meは「時間で選ぶ、おいしい栄養。」をコンセプトに朝、昼、夜の時間帯に合わせた時間栄養学に着目した製品で、日本ではコンビニでも購入できます。一田の沙田旗艦店は6月4日にリニューアルオープンしたばかりで、注目のフードゾーン「一田食堂」ができ、日本酒など酒類を取り扱う「IMADEYA」が進出するなど従来よりもアップグレードしました。そこに健康食品に特化した「Health LABO」売り場ができ、300もの栄養・健康食品の大手ブランドが取り揃えられている中、Cycle.meの商品が並んでいます。

<ヤクルト「Y1000」>

香港ヤクルトは今年3月より機能性表示食品「Y1000」の香港での販売を始めました。Y1000は「ストレス緩和」と「睡眠の質向上」の機能があり、学生や現役世代をターゲットにした商品です。香港ヤクルト自体は1969年から香港にあり、香港とマカオで「ヤクルト」「ヤクルトLT」「ジョア」の3品目を販売しています。香港のヤクルトは現地のニーズに合わせ日本の65㎖より少し大きめの100㎖ボトルで、香港で製造されており長年にわたって安定した販売実績をもっています。Y1000はジョアと同様に日本国内で製造した製品を香港に輸入し販売されています。

<VALX(バルクス)「WPCホエイプロテイン」>

日本のフィットネスブランドVALXは2024年4月よりHKTVmallにてプロテイン製品の販売を開始し、8月には実店舗「VALX SHOP HONG KONG」をオープンするなど、香港でブランドの認知拡大に努めてきました。持ち歩きしやすい「VALX プロテインドリンク(カフェオレ風味)」はA-1 BAKERYの全店舗で販売されています。そして今年2月より「WPCホエイプロテイン(バナナ風味、抹茶風味)」が、香港内のマツモトキヨシ全店で販売が開始されました。タンパク質の含有率が高く、美味しさ、溶けやすさ、続けやすい価格で健康にも美容にも役立つプロテインパウダーは幅広い層の人に適しています。

<森下仁丹「ビフィーナ Slim」>

森下仁丹は香港限定の製品「ビフィーナ Slim」を今年5月から販売開始し、アンバサダーに香港の大人気グループ「MIRROR」の呂爵安さんを起用して話題になりました。「ビフィーナSlim」は、2014年から香港で展開されていた森下仁丹の主力商品「ビフィーナ」シリーズの第三弾で、香港市場限定販売のプロバイオティクスサプリメントです。腸内環境の改善と、体脂肪の低減効果が期待できます。レモン風味で飲みやすく、スティック包装で携帯に便利です。

<@cosme HONG KONG>

美容関連では、日本のコスメ口コミサイト「@cosme」が、2025年内に海外初の旗艦店を尖沙咀に出店します。売り場面積は東アジア最大級の約1,400㎡の計画です。日本では東京・大阪の2店舗で体験型コスメのテーマパークとしてインバウンド観光客から支持されています。さらに香港内では@cosme STORE 朗豪坊、@cosme STORE 利舞臺の2店舗があり、香港マーケットで十分な実績があることから海外初の旗艦店の出店に踏み切りました。

中国本土は福島第一原発事故を理由に埼玉県を含む10都県からの食品輸入を禁止しており、中国以外でも国によって含有成分の規制が厳しく税制も複雑で、初めて海外進出を考えるならやはり香港がお勧めです。香港市場は日本製品への信頼が厚く、健康意識の高まりから購買力も高く、健康系や美容系の健康補助食品は今後も更なるマーケットの拡大が期待できます。