香港の中秋節とAI活用の最前線――高齢化社会を乗り越えるテクノロジーの現在

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香港の中秋節とAI活用の最前線――高齢化社会を乗り越えるテクノロジーの現在

今年の香港の中秋節は9月25日(金)です。香港の中秋節は月餅を贈り合ったり、家族や友人と集まって食事をしたり、街を彩るランタンを楽しんだりと、日本のお月見よりも大きな季節行事として親しまれています。今年もビクトリアパークで開催される「国際中秋綵燈匯/Mid-Autumn Lantern Carnival(中秋節ランタンカーニバル)」は、9月17日から27日まで、18時30分から23時までランタンが点灯し、中秋節当日の9月25日は深夜24時まで延長されます。今年は世界20か国・地域のランタンが集結し、伝統文化と国際色を組み合わせた香港ならではのイベントになる予定です。そして香港の中秋節といえば欠かせないのが大坑の舞火龍(ファイヤー・ドラゴン・ダンス)です。大量の線香をさした巨大な龍が大坑の街中を練り歩く伝統行事で、2026年は9月24日から26日に開催予定です。他にも香港文化センター前の広場では9月17日から10月11日まで中秋節のライトアップも予定されています。この他9月中旬から10月上旬にかけては、街のあちこちで中秋節をテーマにしたライトアップやインスタレーションが楽しめます。

さて、少子高齢化が進む日本の人口は現在の1.23億人から、2070年には0.9億人を割り込むと予測されています。同じく少子高齢化が進んでいる香港ですが、将来の人口は減少するよりむしろ、現在の740万人から2046年には819万人に及ぶと予測されています。ただし、人口の年齢構成は現在と大きく変わるようです。特に65歳以上の高齢者は2021年には約145万人でしたが、2046年には倍近くの約274万人になると予測され、人口に占める割合も20.5%から36%へ上昇する見込みです。2046年の香港はおよそ3人に1人が65歳以上という社会になると見込まれています。これは医療や介護の問題に留まらず、働く世代が相対的に少なくなることで、建設、物流、小売、飲食など幅広い業界で人手不足が深刻になる可能性を示しています。

こういった予測から見て、今後さらに重要になるのがAIやロボットです。「香港では7割以上の人が仕事でAIを使っている」というニュースが最近話題になりました。香港科技大学(HKUST)が2026年8月に発表した調査によると、香港の現役世代3,722人のうち、72.7%が仕事でAIを毎日または毎週利用していることが分かりました。世界平均の31%と比べると、2倍以上の水準です。調査対象は香港で働く現役世代の人のみであり、その限られた回答者の72.7%が日常的にAIを利用しているというデータなので、単純に一般化すべきではありませんが、それを踏まえた上で、香港の職場でAIが急速に普及していることを示す興味深い結果です。AIはすでに仕事の身近な道具になっています。香港で利用されている主なAIは、ChatGPTなどの生成AIです。AIを利用している人の約8割が、文章の作成や整理、情報の要約・分析、アイデア出しなどに活用しています。AIはすでに日常業務を効率化するための道具になっています。金融業など情報を大量に取り扱う業種が多い香港では、生成AIとの相性が良いと考えられます。資料作成や市場調査など、これまで人間が時間をかけていた作業をAIに任せることで、社員はより重要な判断や顧客対応に時間を使えるようになります。一方で、AIへの不安もあります。調査では、若い世代を中心に、AIによって自分のスキルの価値が低下するのではないか、という懸念も示されました。AIを学びたいと考える人が多い一方で、十分な研修を受けていない人も少なくありません。香港のAI活用は、これからさらに進む可能性があります。現在は人間がAIに指示する使い方が中心ですが、今後はAIエージェントの普及が期待されています。AIエージェントとは、一定の目的を与えると、自ら情報を集め、判断し、複数の作業を進めてくれるAIのことです。一度指示すれば、複数の工程をAIが連続で処理してくれます。香港では金融、物流、医療、行政など、AIエージェントを活用できる分野が数多くあります。

高齢化が進む香港にとってAIはますます重要な存在になります。香港がAIに力を入れる理由は、産業の競争力だけではありません。高齢化が進めば、医療や介護の需要が増える一方、働く世代は相対的に少なくなります。そこでAIやロボットによって、一人の労働者ができる仕事を増やすことが可能になります。AIで事務作業を自動化し、AIエージェントで複雑な業務を効率化し、ロボットで物流や建設などの人手不足を補う、こうした技術が組み合わされば、高齢化による労働力不足をカバーできる可能性があります。香港では企業や政府もAI・ロボットへの投資を加速させています。香港政府はAIを「創科駆動、金融賦能(イノベーション主導、金融エンパワーメント)」として2026-27年度予算案のテーマに掲げ、AI産業化と民間活用の加速を推奨しています。ただ、多くの香港企業がすでに業務でAIを活用している一方で、一部の企業ではまだ社内ポリシーを策定できておらず、実装スピードと管理体制の整備のギャップも見られます。今まさにAI時代へ移り変わる過渡期にあると言えるでしょう。