新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いてきた香港では、各種制限措置が緩和されてきました。香港オーシャンパーク(海洋公園)の営業再開に続いて、香港ディズニーランドも9月25日(金)から営業を再開しました。当面は火曜と木曜を除いての営業となるようで、入場には予約が必要です。長らく閉園していたので活気が戻って嬉しいですね。
日本はGo Toキャンペーンで国内の観光需要を喚起していますが、香港観光局は「Hello Hong Kong」というサイトを立ち上げました。香港内のホテルやテーマパーク、飲食店等のお得なプロモーションをまとめて情報提供しています。憧れの五つ星ホテルや高級レストランなど、もともと観光都市の香港だけあってプロモーションにはそうそうたる事業者が参加しています。海外旅行好きの香港人も、香港に長く住んでいる外国人も、改めて香港の観光地ならではの魅力を再発見できるのではないでしょうか。
Hello Hong Kongのサイト:
https://www.holidayhk.com/en-hk/
さて、今月1月から休みがちだった香港の各種学校も9月23日から段階的に再開しています。日本も休校が続いていましたが、香港は超学歴社会と言われるほど受験戦争が激しいため、学校が休みの中で学力を維持するための子どもや親のプレッシャーは計り知れません。香港はアジアでもトップレベルの学力を誇り、世界各国から人が集まっています。香港で子育てをされている方はもちろん、香港人や香港社会を知る上でも重要な香港の教育制度について少し詳しくご紹介します。
<教育制度>
もともとイギリスの植民地だった香港は、イギリス方式の6-5-3-2制(小学校6年、中学校5年、予科制2年(日本でいう高校)、大学3年)でした。返還後も引き続きこの教育制度でしたが、2009年の教育改革で日本と同じ6-3-3-4制(小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年)となりました。
<言語>
香港の学校では英語か広東語(中国語)のいずれかを主言語として使われています。
EMI:全教科を英語で教育(ただし国語や歴史は除く)
CMI:全教科を中国語で教育(広東語や普通語)
返還前はEMIの学校が大半でしたが、1998年からEMIの学校数が制限され少なくなりました。そのため、英語教育を希望する生徒がEMIに殺到し倍率が高くなった時期もありましたが、現在はCMIもEMIも関係なく、香港の若者は英語・広東語・普通語を使いこなしており、日本の同年代の若者と比べると語学に強い印象です。
<幼稚園>
香港では大半が2歳から幼稚園に通います。学歴社会は幼稚園から始まっていると言っても過言ではなく、香港人は妊娠中から幼稚園を探し、1歳には入園願書を提出、入試は面接があるため受験準備も始まります。この年齢では、幼児はもちろん親の面接も重要で親の教育観なども評価されます。幼稚園に入ると漢詩の暗誦や英会話もあり、毎日宿題もあるので親も大変です。インターナショナル幼稚園や日系幼稚園の場合は、ローカルの幼稚園と違って、お勉強色は強くありませんが、学費が高く、寄付金も必要となるため経済的に余裕のある家庭の子に偏ります。
<小学校>
小学校もまた公立、インターナショナル小学校があり、日本人なら日本人学校という選択肢もあります。小中学校は義務教育なので公立の小学校は授業料が基本的に無料です。香港の公立小学校は学区制ではなく、まず希望する学校に入学申請書を提出し、学校側が選定したあと、第一希望に合格しなかった場合は第二希望、第三希望で選定されます。もしどこにも選定されなければコンピュータによる抽選となり、それでも決まらなければ定員割れしている学校へ割り振られます。
<中学校・高校>
教育制度は3・3と変わりましたが、基本的に中高一貫教育です。大学を見据えて中高は進学校を目指すため、小学校の4年生くらいから受験準備が始まります。中学で進学校に通うかどうかで今後の人生が大きく変わってくるので、まだ遊びたい盛りの子どもたちが成績を気にしながら勉強漬けの日々を送ります。香港の学校は勉強に重点を置き、日本のような学校行事や式典はほぼありません。インターナショナルスクールに通っていると英語力が伸び、欧米式の教育を受けられるので将来的に海外の大学を目指す場合は近道となるでしょう。
<大学>
アジア大学ランキングには香港の大学も入っており、レベルの高い大学が揃っています。大学数が少ない香港での受験倍率は日本の比ではありません。大学進学希望者は、高校を卒業すると「香港中学文憑(DSE)」を受験します。日本のセンター試験(2021年1月から「大学入学共通テスト」)に近いイメージです。ただ日本と違うのは、この試験の結果で大学への選抜が自動的に行われることです。受験前に登録したいくつかの志望大学、志望学科のリストから、大学・学科とのマッチングが行われます。日本と違って併願受験やすべり止めはなく、受け取った入学通知が第一志望でも、第二志望でも、そこへ入学することになります。
海外の大学を目指す人も多く、日本よりも気軽に海外を視野に入れているのも香港らしいと思います。もし香港で子育てをされるなら、きっと日本よりも豊富な選択肢があるはずですよ。