香港の衛生当局の発表によると、4月13日時点で香港内の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者数は1010人で、そのうち入院中が604人、退院者数は397人となっています。
最新の水際対策として、4月8日(水)から香港国際空港に飛行機で到着した全員に対して、新型コロナウイルスの検査が実施されています。香港居住者・非居住者を問わず、また症状の有無も関係なく全員が検査対象となっています。
香港では3月末から2週間ほど感染者数が急増していたものの、4月9日からは1日の感染者数が減少し始め、ここ数日は1桁の増加に留まりました。衛生局の見解では、3月中に海外から香港へ帰国した人たちの影響が水際対策により一段落し、また2週間前の市民の努力が成果として現れたと説明しています。世界的な感染拡大が続く今、油断することなく引き続き防疫に努めるべきだと呼びかけられています。実際に、中国国内の封鎖解除に伴う第二波への懸念もあり、自粛疲れの気の緩みが表面化してくるのは2週間後のため、現状を喜ぶにはまだ早いようです。
香港政府は、約1,375億香港ドルを追加の刺激策として「労働者の給料の50%を6ヶ月間補助」、「16業界の支援に210億香港ドルを支援」、「地下鉄の運賃を7月1日から半年間20%割引」、「行政長官と主要当局者の給料は1年間10%削減」などを発表しました。もちろん、これらにより香港政府の今年の財政赤字は膨らみますが、香港政府の対応は世界的に見ても市民の救済に積極的で現実的な印象があります。
4月10日~13日の4日間、香港はイースターホリデーで4連休でした。毎年この時期になると、有給をプラスして香港を飛び出す香港人たちも、香港居住の外国人も、今年は不要不急の外出を自粛して香港で過ごしました。近場で余暇を過ごそうにもカラオケやバーなどは営業制限されており、大人数での外食も自粛、という背景から自宅で楽しめる娯楽に注目が集まっています。
世界的に「任天堂ブーム」が起きています。中国で生産されていた任天堂ゲームSwitchの供給が遅れ気味だったところに、人気シリーズの最新ゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』が3月20日に発売され、さらに新型コロナウィルスの影響で社会的距離の措置などが重なり、Switchの品切れや市場での価格上昇という現象が起きています。「どうぶつの森」はゲーム内で自分の島を作り、プレイヤー達が訪問し合うシミュレーションゲームで、社会的距離を保ちながら仲間と集まることができます。香港ではデモなどの集会が難しくなった今、このゲームを利用して民主活動家たちがゲーム内で反政府的な発言を発信していると話題になっています。このことが報道され、中国本土では「どうぶつの森」が販売停止となりました。
ゲームを楽しみながら大人しく自宅で過ごす人もいる一方、イースターホリデー中は外出する人も多く見られました。この連休中には沙田や旺角など繁華街に出る人が増え、離島や郊外へ足を伸ばす人も多くいました。
赤柱(スタンレー)、西貢(サイクン)などのレストランでは、外食の人数を制限されているにもかかわらず大勢の家族連れの姿が見られました。これらのエリアで多くのレストランは外にテラス席が設けられており、開放的な環境の中で食事ができます。こういった「レストラン&バー」の形態をとっている飲食店は酒類を扱っていても食事を主に提供しているため、営業停止となっている「バー」とは異なると営業が続けられています。屋外とはいえマスクを外し、飲酒しながら会話をすることに感染拡大が懸念され、バー同様に営業停止するべきと不満の声が上がっています。
日本では現在も入手困難となっているマスクについては、この連休に入り、香港各地で山積みのマスクが販売されていました。中国産、オーストラリア産など海外で製造されたマスク、香港で製造されたマスクも出回っています。価格も一時的に高騰した時に比べれば3分の1程度となり、まとめて数個買うとさらに割引されるなど入手しやすくなりました。新型コロナウィルスの終息は依然見えないものの、マスク不足は供給が追い付いて解消されてきたようです。近いうちに価格も平常時の値段に戻ると予想されています。
また、トイレットペーパー不足が噂され香港内で買い占めが起きたことは記憶に新しいところですが、今度は製菓材料の需要が急激に高まっています。家に居ながら親子で楽しめる活動として、お菓子作りをする家庭が増えました。小さな子どもを持つ若い親たちを中心にブームとなっており、小麦粉など製菓材料を扱う店舗では思わぬ売り上げの伸びに喜びつつも、トイレットペーパーの時のようにある程度まで行きわたれば需要が元に戻るだろうという冷静な見方をしています。
様々な場面での「非日常」が今後しばらく続きそうです。仕事や学校、生活への影響は深刻ですが、まずは体調管理と感染予防を第一に今できることを続けていきましょう。