香港入境時の検疫プロセス

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香港入境時の検疫プロセス

香港では7月に入ってから新型コロナウイルスの感染者が再び増加しており、第3波の襲来と言われています。7月13日時点での感染者は1522人、うち退院者は1217人、241人が現在も入院中です。ここ最近の流行の特徴として多くの感染者は感染経路が不明で、香港内の異なる地区に居住しており、市民の間では再び緊張感が高まってきました。

専門家によると、現在の香港の状況は新型コロナウィルスの流行が始まって以来、最も深刻だと評価しています。これまでは海外からウィルスを輸入したケースが大半で、香港内での感染もバーやカラオケなど限定的なものでした。しかしここ最近は感染経路が不明で、空港職員、タクシー運転手、飲食店店員、入国管理局職員、など感染者の職業も異なり、互いに接点のない異なるエリアから報告されています。

このペースでいくと爆発的に感染者が増えるおそれもあり、政府は13日夜の記者会見で下記の新たな防疫措置を発表しました。これらは15日(水)より適用されます。

・公共の場所での集まりは4人までとする。

・ジム、ゲームセンター、カラオケ、バー、映画館、美容院、マッサージ店、麻雀店、クラブハウス、スパ、パーティルーム、ナイトクラブ、など12の施設は7日間営業停止。

・飲食店は午後18時~翌日午前5時の時間帯は店内での飲食不可(テイクアウトは可)。

・公共の交通機関を利用する際はマスク着用のこと。(違反者は罰金5000香港ドル)

このほか、今後は過去14日間にハイリスクとされた地域に滞在した人が香港に入境する場合、チェックインの際にウィルス検査を受け、結果が陰性である証明を提示することとし、違反した航空会社は罰せられるということです。ただし、ハイリスクとされるエリアについて日本が含まれるのか詳細は分かっていません。

また、香港では新型コロナウィルスが流行して以来、下記の専用ホームページで状況や関連ニュースを詳細にまとめて迅速に発表しています。

【香港政府公式新型コロナウィルス関連情報HP】

https://www.coronavirus.gov.hk/eng/index.html (英語)

https://www.coronavirus.gov.hk/chi/index.html (繁体字)

日本では感染者や店舗のプライバシー保護や差別防止のため、感染者の住所や具体的な行動歴を詳しく公表しない傾向にあり個人情報の取り扱いに敏感ですが、香港では公益のためには合理的と考えられているようです。

香港居住の日本人の方はもちろん、ビジネスのためこれまで日本と香港を往来していた方も多いと思います。現在は日本と香港を繋ぐフライトも本数が減っており、ビザステイタスによっても入国に制限があるため、滞在ビザを持たない非居住者(観光客など)は、香港へ入境できません。

何らかの滞在ビザを所持している場合は香港居民と見なされます。日本や諸外国から香港に入境した香港居民は、ウィルス検査と2週間の強制隔離が定められていますのでご紹介します。

<検疫プロセス>

①午前着:香港国際空港に飛行機で午前中到着→検査→当日中に結果→陰性であればホテルか自宅に移動した後14日間の隔離、陽性であれば入院

②午後着:香港国際空港に飛行機で午後到着→検査→九龍城(Kowloon City)の富豪東方酒店(Regal Oriental Hotel)に移動し宿泊→陰性であれば自宅等に移動した後14日間の隔離、陽性であれば入院

飛行機が香港に到着する時間帯によって、①か②のスケジュールとなります。もう少し詳しく、午後に到着したケースを例に解説します。

【香港到着後】

・腕にリストバンドを装着

・強制隔離用のアプリ「居安抗疫(Stay Home Safe)」をスマートフォンにインストール

・申請書に記載した電話番号が使えるか、その場で発信して着信確認される

【香港入国後】

・入国審査後、ターンテーブルで荷物を受け取り決められた順路を通ってバス乗り場へ

・シャトルバスで検疫所(アジアワールドエキスポ/亜洲国際博覧館)へ移動

・検体キットを受け取り、サンプル採取の説明を受ける

・指定の場所で唾液サンプルを各自で採取し容器を提出する

・結果が出るまで待機する

※午前着の場合は、結果が陰性と分かれば強制隔離場所(自宅等)へ移動可能

・午後着の場合、次に強制隔離施設(ホテル)の宿泊手続き後、シャトルバスで移動

【検査の結果待ち】

・チェックインを済ませたら、夕食を受け取り、部屋で一晩過ごす

・翌朝、朝食が提供され、検査結果が陰性であればホテルをチェックアウトする

【強制隔離中】

・自宅等へ到着したら、アプリ「Stay Home Safe」を起動し位置情報を設定

・衛生署から所在確認のメッセージが送られてくるので、QRコードをスマホで読み込む

・午前、午後の1日2回、検温し記録をする

・不定期に衛生署から状況確認の電話がかかってくる

・GPS機能がついているため、隔離場所を離れた場合は法律違反で罰金となる

・隔離12日目に2回目の検査キットが送付されてくるので、唾液を入れて病院に提出する

・14日間目の朝に陰性のメッセージが届けば、翌日より隔離終了し外出が可能となる

・その後はリストバンドを破棄し、アプリをアンインストールしても良い

このように香港の水際対策は厳重に行われています。市中感染がおさまり、また日本と香港を自由に行き来できるようになる日が早く来ればと思います。