新型コロナウィルスは香港で再び猛威を振るっており、一日の新規感染者は連日100人を超え急増しています。7月28日時点での感染者数の累計は2885人、そのうち1527人がすでに退院済み、1099人が現在も入院中です。香港だけでなく日本を含めた世界中で新型コロナウィルスの流行は再燃に直面しており、いかにウィルスを封じ込めることが難しいかを物語っています。
今週に入ってすぐの7月27日(月曜日)、香港政府は新たな制限を発表しました。
・飲食店内における飲食は全面禁止、テイクアウトとデリバリーのみ。
・スポーツ施設やプールは営業停止。
・公共の場所における集まりを従来の4人から2人に制限。
・公共の場所におけるマスクの着用を義務付け、屋内屋外ともにマスク着用のこと。
・公共の場所でのタバコの喫煙を禁止。
これらの措置をとる期間は7月29日~8月4日の1週間とされています。
また、なるべく自宅にいること、できるだけ在宅勤務をするよう呼びかけられました。
急激に感染者が増えたことで、香港では病床や隔離施設の不足、ひいては医療崩壊が懸念されています。実際に感染者が何日も自宅待機しているケースも多く、感染者と同居する家族にまで精神的な負担が強いられています。それらを解消するため政府はAsia World Expoに2000床のベッドと医療設備の導入を進めており、早ければ8月1日から利用可能となる見込みです。その他、展示ホールには400~500床が収容できるため、軽症患者の受け入れが可能となりそうです。
また7月22日には、外国からの入境禁止政策を2020年の12月末まで延長すると発表されました。言い換えれば、今年いっぱい外国人観光客は香港に入境できないことになります。香港ではつい先日、新規感染者数がいったん落ち着いたことから入境制限を緩和しましたが。しかし再び感染が広がっていることから再度の制限緩和には慎重になっており、今の流行のピークが落ち着いたとしても、香港への観光客は当面受け入れない方針です。
最新の香港への入境制限は下記のようになっています。
・台湾、マカオ、中国から香港に入境する場合、14日間の強制隔離
(2020年9月7日まで)
・外国から戻った香港居民は香港に入境後、14日間の強制検疫
(2020年12月31日まで)
また、ハイリスク地域からの入境者は7月25日より、搭乗72時間以内に陰性結果証明の提出(中国語か英語)と、最低14日間以上のホテル滞在の予約確認の提出が義務付けられました。ハイリスク地域は、バングラデシュ、インドネシア、ネパール、インド、パキスタン、フィリピン、南アフリカが指定されています。7月29日からはアメリカとカザフスタンも加わる予定で、日本も国内の感染状況次第では今後ハイリスク地域に指定される可能性があります。
観光業が冷え込む一方で、新しい生活様式に沿ったサービスに力をいれている企業もあります。宅配サービスのDeliverooは朝食サービスを始めました。在宅時間が増えたことで、もともと朝食をオフィスで摂る習慣があった香港人が自宅で朝食を済ませるようになり、朝食のデリバリー需要が高まったことでサービスが始まりました。平日は朝7時45分から、週末は朝9時から注文を受け付け、飲食店側の売り上げアップも見込めます。
また、今年5月頃から自動販売機に似た「自動マスク取り出し機」を設置し、低所得層へ1000万枚を無料で配布する取り組みを行った新世界(New World Development)は、新たに子供向けマスクの生産を発表しました。まずは取り急ぎ30万枚が生産され、非営利団体などの機構を通じて貧困家庭の子どもたちに寄付されます。5月から設置されている「自動マスク取り出し機」も、最近の感染拡大状況に鑑みて10月末まで設置を続ける予定です。
この他にも香港では6月から「マスクの自動販売機」も登場しました。九龍バス(KMB)が一部のバス乗り場に自動販売機を設置し、自社内のグループで生産した使い捨てマスクを10枚入り20HKDで販売しています。自動販売機にはマスクの他にもKMBのオリジナルグッズも販売しており、香港内で話題となっています。
どこにでもスーパーやコンビニがある香港では、これまであまり自動販売機を見かけませんでした。たまに郊外などで見かけても古ぼけた機械で、中の飲料も本当に入っているのか心配になるほどで、お金を入れても何も出てこないことがあるため購入する人はあまりいませんでした。しかしここ1、2年ほどで色々な企業から新しい自動販売機が導入され、フェリーターミナルやバスターミナル、住宅地の中などでぽつぽつと設置されるようになりました。機械もタッチパネルなど最新式で、普通の飲料の他にも漢方ドリンク、おにぎり、お菓子、USBケーブル、衛生用品、キャラクターグッズなどバラエティ豊かです。ボタンのみで何が出て来るか分からないというエンターテイメント性を持つ自動販売機まで登場しました。黒電話から一足飛びにスマートフォンへ飛躍したくらいの変化ですが、今まであまり進化せずマーケットが広がらなかったモノでも、世の流れと技術が融合すればまた新たな可能性が模索できるのだと思います。